2022/10/22
子どもに人形遊び、ごっこ遊びが必要なワケ 専門店がすすめるのは「無表情な人形」
■ベビー人形は1~3歳 3歳以降は抱き人形へ移行
今も昔も変わらない、子どもの頃の遊びの定番には「人形遊び」や「ごっこ遊び」がある。テレビがモノクロだった時代と、スマートフォンが生活に不可欠な現代では、ごっこ遊びの設定に違いはあるかもしれないが、根本は変わらない。この2つの遊びは子どもの成長において、大切な役割がある。
人形は子どもにとって特別な存在だ。話しかけたり、一緒に寝たり、大切な時間を共有する。静岡市の子どもの本とおもちゃの専門店「百町森」によると、人形には主に2種類ある。
1つは「ベビー人形」。対象年齢は1歳からで、ご飯や着替えなど自分が親からしてもらうことを同じように人形にする。学習の第一歩と言える。名前を付けて家族の一員として世話をする段階を3歳くらいまでに経て、次は「抱き人形」へと移行する。
抱き人形との関係は姉妹や友達に近く、子どもは時に親に言えない秘密も明かす。百町森の代表・柿田友広さんは「無表情の人形の方が、子どもの想像力が働きます。子どもがうれしい時は人形もうれしい顔、自分が悲しい時は人形も悲しい顔に見えて、心に寄り添う存在になります」と表情のない人形を推奨する。小学生になっても人形は現実とのクッションになり、大事な話し相手の役割を担うという。
■子どもの想像力を育てるお手玉やチェーンリング
人形が登場することも多い「ごっこ遊び」は、時代が変わっても子どもたちにとって大切な遊び。子どもは自分以外の人を演じたり、まねをしたりすることで、役割や社会性を覚えていく。子どもがいつの間にか、母親の口ぐせをまねているのを見た経験もあるだろう。
はじめは家庭内の設定だった遊び方が、店や職業を取り入れ、実際の社会に近づいていく。ごっこ遊びやままごとのアイテムで柿田さんが勧めるのは、色や柄のついたお手玉やチェーンリング。用途が1つにしぼられる野菜や調理器具のおもちゃに加えて、場面に応じて使い方が変わるチェーンリングなどを入れると、子どもたちは想像力を膨らませる。時にはジュエリーになり、別の日は食材やお金になる。
柿田さんは「アナログのおもちゃでごっこ遊びをすると五感をフルに使って手先が器用になり、料理をお皿に盛り付ければ構成力も育まれます。言葉を覚えたり、大人のまねをして自分を成長させたり、あらゆる能力を発達させます」と強調する。最新の技術を使ったおもちゃの重要性や必要性を感じていながらも、アナログのおもちゃが持つ力にはかなわないと信じている。
(SHIZUOKA Life編集部)