2022/10/28
静岡鉄道が運賃20円値上げへ 新型コロナによる利用者減少で1億4000万円の赤字
■初乗り運賃140円→160円 定期は通勤が17.6%増、通学は据え置き
静岡市に本社を置く鉄道会社「静岡鉄道」が、私鉄の運賃値上げの認可を国土交通省に申請した。認可されれば、来年4月から鉄道運賃が引き上げられる。運賃改定の理由には、新型コロナウイルス感染拡大による利用者の減少を挙げている。
静岡鉄道は新静岡駅から新清水駅の運賃を平均12%引き上げる。初乗り運賃は140円から160円となり、新静岡から新清水間は330円から350円となる。
定期は通勤を17.6%引き上げ、通学は据え置く。定期外は10.8%引き上げる。静鉄は「通学定期は、学ぶ人や子育て世代を応援するため現行運賃に据え置きます」と説明している。
静鉄が来年4月に運賃を改定すれば、2019年10月以来となる。この時は消費税が8%から10%に増税されたことを理由とし、初乗りは120円から140円、新静岡駅から新清水駅までは300円から330円に値上げされた。
静岡鉄道によると、鉄道事業は2006年から営業損失が続き、新型コロナ感染拡大の影響で利用者の減少が加速した。今後も新型コロナ前の基準に戻らないと想定され、設備投資や修繕といった輸送の安全を確保するには運賃改定が避けられないと判断した。
■運賃据え置きは3年で5億3840万円の赤字 値上げで2270万円の黒字試算
鉄道事業の2021年度の収入は約13億2500万円で、支出は約14億6660万円。差し引き損益は1億4000万円余りの赤字となっている。
今の運賃を維持すると、2023年度からの3年間で5億3840万円の赤字が想定され、運賃を改定すると2270万円の黒字になると試算している。
静岡鉄道は値上げによって増えた収入を安全対策に加えて、スロープや多目的トイレといった駅のバリアフリー化推進や老朽化した車両の更新にあてるとしている。国交省に運賃改定が認可されれば、来年4月から新しい運賃となる。
(SHIZUOKA Life編集部)