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2022/10/28

静岡県から積雪見えても富士山で初冠雪が発表されないワケ 初雪・初冬化粧との違いは?

今年は9月30日に初冠雪が発表された富士山

■初冠雪の基準は山梨県の気象台 今年は平年より2日早い9月30日

ここ数日、静岡県内は上空に強い寒気が流れ込んだ影響で冷え込んでいる。今シーズンの最低気温を更新する地点も多く、コートやブーツ姿の人が増えている。静岡県民にとって、冬の到来を告げる話題と言えば「富士山の初冠雪」。今年は9月30日に観測されたが、富士山頂の雪を県民が確認しても初冠雪と発表されないケースがある。

 

富士山の初冠雪が平年より2日早い、9月30日に発表された。初冠雪は、その年の最高気温を観測した日以降に、山の一部でも積雪などが確認された時を指す。

 

静岡県民の中には、富士山の山頂に雪が積もっているにもかかわらず、初冠雪が発表されないと感じた人が少なくない。富士山の初冠雪は1894年から発表されているが、この判断をするのが山梨県の甲府地方気象台なのだ。つまり、静岡県側から雪化粧が見えたとしても、甲府地方気象台から冠雪が見えない限り、初冠雪は発表されない。

 

初冠雪が最も早かったのは2008年で、登山シーズン真っ只中の8月9日だった。一方、最も遅かったのは、1956年と2016年の10月26日。昨年は9月7日に発表されたが、9月20日に富士山頂付近でシーズン最高気温を記憶したため、9月26日に見直された。

 

■「初雪」は2004年で終了 「初雪化粧」は2006年から開始

富士山に積もる雪に関する発表では、初冠雪の他にも「初雪」と「初雪化粧」がある。同じようで、違いがある。

 

「初雪」の観測は、富士山頂剣ケ峯にある気象庁富士山測候所の職員が降雪を確認していた。観測を始めた1936年以降、最も早かったのは1963年の7月31日。最も遅い記録は1943年で10月16日だった。

 

富士山測候所が山頂での常駐観測を2004年に終了したため、初雪の発表は終わった。富士山の山頂は年間300日以上も雪が積もっているため、シーズン最初の雪とシーズン最後の雪の区別が難しかった。

 

「初雪化粧」は、山梨県富士吉田市が2006年から独自に宣言している。今年の発表は「初冠雪」と同じ9月30日。観測の平年値も、初冠雪と同じ10月2日となっている。これまでで最も早い記録は2008年の8月9日。遅かったのは2016年の10月26日と、こちらも初冠雪と同じになっている。

 

先ほど触れたように、初冠雪は昨年、9月7日から9月26日に見直されたが、初雪化粧は9月7日のまま変更していない。2020年も初冠雪が9月28日だったのに対して、初雪化粧は9月21日。それぞれの判断基準によって、日付に違いが出ている。

 

一部では「地球温暖化の影響で、雪が降るのは年々遅くなっている」という指摘がある。ただ、過去50年の記録を見る限り、富士山の初冠雪が遅くなっている傾向はない。

 

(SHIZUOKA Life編集部)

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