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2023/01/17

性的少数者からは一定の評価も「まだゴールは先」 静岡県がパートナーシップ制度導入へ

3月1日からパートナーシップ宣誓制度を始める静岡県

■全国10都府県が導入 静岡県内では富士市や静岡市など4市

性の多様性を尊重する取り組みの一環として、静岡県がパートナーシップ宣誓制度を3月1日から開始する。セクシャルマイノリティ(性的少数者)が直面する問題解決のきっかけとなる制度に当事者は歓迎する一方、「まだゴールは先にある」と指摘。また、県民によるパブリックコメントの一部には批判的な内容があり、課題は残っている。

 

日本では同性同士の婚姻が法的に認められていない。夫婦同然の暮らしをしていても、同姓のカップルが手にできない権利は多い。

 

「LGBTQ」と表現されるセクシャルマイノリティに対して「結婚に相当する関係」を自治体独自に認めるのが、パートナーシップ宣誓制度。すでに全国10都府県で導入されている。静岡県内では富士市、静岡市、浜松市、湖西市に制度があり、県も3月1日からスタートする。県は宣誓できる対象者を次のように示している。

 

・成年(満18歳以上)に達していること

・パートナーのどちらか1人が静岡県民(転入予定を含む)

・配偶者がいないこと

・宣誓者以外の人とパートナーシップの関係にないこと

・宣誓者同士が近親者ではないこと

 

■県営住宅の入居や手術の同意を想定も具体案は示されず

県はセクシャルマイノリティのカップルが直面する問題として「大切なパートナーであると証明できるものがない」、「医療機関での病状説明や面会で家族として扱われない」、「住宅を借りる時に関係を理解してもらえない」といった内容を挙げている。

 

こうした問題を解決するために今回、パートナーシップ宣誓制度の導入を決めたが、開始を2か月半後に控えた状況で具体案は示されていない。県は「受けられる行政サービスは固まっておらず、詳しく決まり次第ホームページなどで広報していく」としている。県営住宅の入居、医療機関での手術の同意などを想定しているという。

 

静岡市に住むLGBTQ当事者の1人は、パートナーシップ導入を歓迎している。社会的な関心や理解は広がってきたとはいえ、今もなお、心ない言葉を浴びせられる時があるという。セクシャルマイノリティの権利を行政が認めれば「社会が変わる可能性がある」と期待する。ただ、「あくまでスタート。まだゴールは先にあります」と訴える。

 

「パートナーシップ制度を導入している自治体は全国にありますが、社会で謳われている結婚に相当する関係とは程遠いのが現状です。相続や配偶者控除を受けられないといった仕組みに関する課題が指摘されていますが、やっぱり性的指向が少数派という理由だけで、当たり前の権利を奪われている現実に目を向けてもらいたいと思います」

 

■パブリックコメントは大半が賛同 一部に批判的な意見

静岡県が募集したパブリックコメントを見ても、根強い差別意識は消えていない。意見の大半は「導入しない理由がない」、「誰もが大切な人と支え合う世界にしてほしい」、「セクシャルマイノリティという言葉がなくなるくらい当たり前になる一歩になってほしい」といった好意的なものが占めるが、一部には「公に性の多様性を認めるべきではない」、「日本の伝統的な家族・婚姻制度の崩壊につながる」などのコメントがある。これに対し、県は次のように考え方を示している。

 

「多様な性の在り方に関しては様々なご意見がありますが、県はパートナーシップ宣誓制度の創設をはじめ、性的マイノリティの方々を含め、誰もが理解し合える共生社会を実現することが重要と考えております」

 

パートナーシップの宣誓は県庁のほか、県東部総合庁舎や県浜松総合庁舎などで宣誓書受領書を受け取れる。希望者は受け取りの2週間前までに県のホームページ、電話、メールから申し込みが必要となる。

 

静岡県によるパートナーシップ宣誓制度の案内

leaflet.pdf (pref.shizuoka.jp)

 

SHIZUOKA Life編集部)

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