2023/01/23
静岡県でインフルエンザ急拡大 3年ぶり流行に学校現場は「緩みある」「予想通り」
■相次ぐ学級閉鎖 静岡県西部は1週間で患者2倍
静岡県のインフルエンザ患者が大幅に増えている。特に県西部は1週間で2倍に急増。県内各地で学級閉鎖の対応が取られている。インフルエンザの流行は3年ぶりで、学校関係者からは「感染症対策に緩みが出ているのも要因」といった声が上がっている。
感染症情報センターのまとめでは、1月15日までの1週間で、静岡県内のインフルエンザ患者は1医療機関当たり4.62となった。前週の3.19から大幅に増えている。地区別では県東部が4.14、中部が4.74、西部は5.02。西部は1週間で2倍に急増しており、増加ペースに注視が必要な状況になっている。
県感染症対策課によると、19日に幼稚園と小学校合わせて3カ所で学級閉鎖となった。今シーズンの累計は幼稚園、小、中、高校で計21施設に上る。
新型コロナウイルス感染拡大が始まってから、インフルエンザの患者は急激に減っていた。新型コロナ対策として進めていた手洗い、うがい、マスク着用の徹底や不要不急の外出が、インフルエンザの拡大を防いでいた形だ。しかし、今シーズンは静岡県を含む全国各地で3年ぶりの流行に入っている。
インフルエンザ患者の増加で、学級閉鎖を余儀なくされた教育現場もある。過去2年間との違いについて、現役の小学校教師は口を開く。
「昨シーズンまでは新型コロナ対策が学校で徹底されていました。国の政策もあって社会でコロナへの警戒感が薄れていますが、学校も同じです。コロナ対策の緩みがインフルエンザ拡大につながっていると思います。予想はしていましたが」
■感染症対策に緩み インフル広がる学級と合同体育
昨シーズンまでとの違いは、学校生活の様々なところに表れているという。冬でも1日中、窓を開けていた換気は、寒さを考慮して休み時間のみにする日もある。マスクの着用率は下がり、至近距離で会話する児童も増えた。また、最近は教師の気の緩みを感じさせる出来事もあった。
「数人のインフルエンザ患者が出ていた学級があったのですが、教師もインフルエンザで学校を休んでいました。その学級の体育の授業ができなくなるということで、他のクラスと合同にしました。体育の授業では原則、子どもたちはマスクを着けません。数日後、合同で体育をすることになった別の学級でもインフルエンザの児童が一気に増えました」
この教師は、新型コロナへの警戒心が強かった過去2年は合同授業という選択肢は考えられなかったと話す。しかも、体育は最も感染リスクが高い授業と教師間の共通認識があった。
「感染症を過度に恐れる必要はありませんが、感染リスクを下げる対策は怠らないように、教育現場を引き締める必要性は感じています」。
新型コロナ感染拡大前、毎年インフルエンザの流行期があった。学級閉鎖も決して珍しくないが、学校生活に影響が出る以上、避けられるリスクには対策を講じたい。
(SHIZUOKA Life編集部)