2023/02/17
「どうする家康」で盛り上がる静岡市で「どうする静岡」 中学生がプロの仕事学ぶ授業
■模型やホテル、花屋や農業など 13業種の専門家が講義
業界のスペシャリストの話が、地元の未来を考えるきっかけにつながる。静岡市の東中学校で、「どうする静岡?」と題した職業講話が開催された。講師に招かれたのは、市内の企業で活躍する13業種のプロフェッショナル。仕事のやりがいや静岡市への思いを生徒たちに伝えた。
松本潤さんや有村架純さんらNHK大河ドラマ「どうする家康」のキャストほどの豪華さはないかもしれない。それでも、それぞれの業界をけん引し、静岡市に貢献するスペシャリストが揃った。
静岡市の東中学校で14日に開催された「どうする静岡?」。1年生の総合学習の一環で、13業種の講師が招かれた。新型コロナウイルス感染拡大によって職場体験が難しい中、仕事への関心を高めたり、静岡市の未来を考えたりするきっかけをつくる目的があった。
講師の業種は、プラモデルメーカーやホテル、花屋や農業など多岐に渡る。生徒たちは関心のある3人の講師を選んで30分ずつ話を聞いた。
■次世代へつなぐ使命感を熱弁 林業は「山を守る責任」
林業からは玉川きこり社の社長・繁田浩嗣さんが講師を務めた。静岡市は約8割が山で、日本自体も世界有数の森林大国でありながら、林業の人手が不足している現状を伝えた。
農業と同じように育てた木を加工して販売する仕事だが、木の生育には長い月日を要する。繁田さんは、目先の儲けを考えるだけではなく、未来を見据える大切さを訴えた。
「林業には山を整えて、山を守る責任があります。今植えている木は、私が生きているうちに切ることはありません。次の世代に譲り渡すために植えています」
繁田さんは、木が日本人にとって身近でありながら、本来の良さが伝わっていないと感じている。そこで、飲食店の店内などをデザイン。木の素材や自然が生み出す模様を生かした空間をつくっている。木の魅力が理解されれば現在の価格も見直され、林業の人材確保にもつながっていく。
■エスパルスのスクールコーチ サッカー通じた生き方を助言
静岡市清水区を本拠地とするサッカーJ2清水エスパルスからは、スクールのコーチをしている東祐大さんが講師を務めた。クラブの基本理念にはサッカーを通じた地域貢献があり、地元の誇りになるチームを目指していると訴えた。
東さんは主に園児や小学生を対象に指導しているため、子どもたちが笑顔になり、成長を感じられる言動を心掛けているという。それぞれに得意、不得意があるため「できなくても恥ずかしくない。誰でも苦手なことはある」と伝え、上手くなる楽しさを感じられるように課題を設定している。
東さんは生徒たちに「サッカーに限らず世の中は上手くいかないことの方が多い」と話し、できることを1つずつ増やす大切さを訴えた。そして、「性格を変えるのは難しいですが、意識は変えられます」と伝えた。
静岡県内の中でも、人口減少が深刻な静岡市。仕事を知る機会は、自分が暮らすまちの未来を考える第一歩となる。
(間 淳/Jun Aida)