2023/02/28
「勉強しなさい」は逆効果? 失敗した時の声かけは? 尾木ママが子育ての悩み解決
■尾木直樹さんが磐田市で講演 育児のキーワードは「共感」
「勉強しなさい」。子育て経験のある保護者は、つい口にしてしまう言葉の1つだろう。尾木ママの愛称で親しまれる教育評論家の尾木直樹さんが、静岡県磐田市の市民文化会館「かたりあ」で講演。勉強を促す言葉は逆効果と訴えた。子どもが自ら勉強する声のかけ方があるという。
住まいや勤務先があるなど、磐田市に縁のある人を対象にした講演会には、子育て世代を中心に多数が集まった。知識と経験が豊富な尾木さんが育児のキーワードに挙げたのは「共感」。子どもが安心し、大人に対して信頼が生まれる。
例えば子どもが100点満点のテストで25点を取ってしまい、落ち込んで帰宅した時、保護者は自分の失敗談を明かす。「お父さんは一生懸命勉強したのに10点の時があった」。この言葉で、子どもは「自分だけではなかった」と共感するという。その後、母親が「お父さんは子どもの頃に10点を取ったと言っていたけど、今は会社で活躍しているからね」などと付け加えると、父親に対する子どもの信頼を高める効果がある。
尾木さんは失敗すると、いつも母親に「大丈夫、大丈夫」と声を掛けられていた。受験や教員採用試験で不合格になった時も「大器晩成型だから大丈夫」と言われて気持ちを切り替えるきっかけになった。尾木さんは「失敗した時、あいづちを打つだけでも共感につながります」と話す。
■勉強してほしい時にオススメの一言 「きょうの予定は?」
共感とは対照的な言葉となる「勉強しなさい」は、子どもには響かない。宿題やテスト勉強を後回しにしてゲームや動画に熱中している子どもが目に入ると、保護者が言ってしまいがちな言葉だが、尾木さんは「子どもは勉強しなくなります」と指摘する。
子どもに勉強してほしい時に有効な一言は、「きょうの予定は?」という質問。帰宅してから寝るまでの過ごし方を子ども自身が決めると、実行する確率が格段に上がるという。尾木さんは「夕ご飯までテスト勉強をするなど、自分で立てた計画はやり遂げようとします。自分で決めることは子どもの自立にもつながります」と語った。
尾木さんは子どもの頃、宿題を「明日やるから」と母親に伝えると、親鸞の和歌が返ってきた。「明日ありと 思う心の仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは」。今美しく咲いている桜を明日も見られると安心していると、夜中に嵐が吹いて散ってしまうかもしれないと意味で、尾木さんの母親は「明日に回さず、今やった方が良いのでは?」とメッセージを込めた。
子育ては思い通りにいかないことの連続で、正解は1つではない。参加者の中には尾木ママの話に大きく頷き、ヒントを得た人もいた。
(SHIZUOKA Life編集部)