2023/03/23
なぜ静岡市役所が紫色にライトアップ? 100人に1人かかる病気に理解を
■3月26日はパープルデー 世界的にてんかん啓発
日没を迎えると、紫色に照らし出される。静岡市が3月26日まで市役所をライトアップしている。てんかんへの理解を深めてもらう「パープルデー」に合わせた企画。てんかんの患者は100人に1人、あらゆる年齢で発病すると言われているが、社会的な認知は思うように進んでいない。
毎年3月26日は国際的にてんかんを啓発する「パープルデー」とされている。2008年3月26日に、当時9歳だったカナダに住む女の子、キャシディー・メーガンさんが、自身も苦しんでいたてんかんへの正しい知識を知ってもらおうとクラスメートに勉強会を開いたことがきっかけだった。キャシディーさんが好きだったラベンダーの紫色が国際的なイメージカラーとなり、「パープルデー」と名付けられた。
日本でも年々、てんかんを啓発するイベントが増えている。静岡市では近年、パープルデーまでの約1か月間、市役所を紫色にライトアップしている。
てんかんは特別な病気ではない。厚生労働省によると、国内の患者数は100人に1人。乳幼児から高齢者まで、どの世代も発病する可能性がある。脳の神経細胞の一部が一時的に異常な電気活動を起こすことでけいれんなどの発作が起きるが、症状は基本的に一過性で元の状態に回復する。
■大半は社会生活に支障なし 発作は数秒、薬で制御可能
原因は頭部外傷や脳卒中など明らかな場合もあるが、不明なケースも多い。7割ほどの患者は一般的な治療薬「抗てんかん薬」の服用で発作は止まるという。外科手術で完治したり、症状を軽くしたりできる。
発作が起きる時間は通常、数秒から数分間に限られる。それ以外は生活に影響がなく、治療で発作をコントロールすれば社会生活を支障なく送れる。ただ、周囲の誤解に悩む患者が少なくない。中には仕事を失ったり、差別に苦しんだりする患者もいる。
静岡県では、てんかん治療体制の整備を進めるため、専門医や行政、当事者や家族が参加する協議会を年2回開催している。静岡市葵区には、てんかんや神経難病診療に特化した「静岡てんかん・神経医療センター」がある。静岡市役所のライトアップは3月26日まで、日没から午後10時となっている。
(SHIZUOKA Life編集部)