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2023/04/04

新型コロナで男性は減少、女性が増加 静岡県の自殺者数 5年で17%減らす対策開始

自殺対策を策定した障害福祉課が入る静岡県庁西館

■新型コロナで傾向変化 女性の10~50代で自殺者増加

静岡県が新年度から5年計画で自殺者を約17%減らす取り組みを開始する。県内の自殺者数は減少傾向にあるが、新型コロナ感染拡大後に女性の人数が増加。県は女性特有の事情を把握し、特に対策を強化する。

 

県障害福祉課によると、県内の自殺者数は2010年の854人をピークに年々、減少している。2019年には564人まで減ったが、新型コロナの流行が始まった2020年は583人に増加。2021年は539人だった。人口10万人あたりの自殺者数は全国と同じ水準で推移している。県は2027年度までの5年間で450人未満まで減らす目標を掲げた。

 

自殺者の割合は、男性が全体の約7割を占めている。ただ、近年は減少傾向にあり、年代別で新型コロナ感染拡大後に増加したのは20代のみだった。一方、女性は10代から50代までの世代で自殺者が増えている。特に、20代と30代は3ポイント以上も増加している。

 

自殺未遂の割合は男性が14%だったのに対し、女性は2倍以上となる29%と高い。特に、女性若年層は40%以上と深刻な状況となっている。そこで、静岡県は対策の柱の1つに、女性特有の視点を踏まえた施策の推進を掲げている。

 

■妊産婦の支援、雇用やDV 女性特有の対策強化へ

女性特有の問題としては、妊娠中や産後間もない妊産婦への支援、外出自粛に伴う子育てや介護の負担増加、雇用問題やDVの深刻化などを挙げている。例えば、市町が実施する産婦検診や産後ケアを推進できるよう、行政と医療の連携体制を整備する。

 

経済的な安定や家族との良好な信頼関係構築のサポートには、短時間正社員制度の導入や男性の主体的な家事・育児参加の啓発を一層推進していくという。具体的には、啓発冊子を活用して企業の男性従業員に家事や育児参画を学ぶ機会を設けたり、女性活躍に積極的に取り組む企業の事例を情報発信したりする。

 

また、性別や世代を問わず、自殺者の減少に効果があると考えられているゲートキーパーの養成にも力を入れる。ゲートキーパーは自殺のサインに気付き、声をかけて話を聴き、必要な支援につなげる役割を担う。

 

県内では各市町でゲートキーパーの研修や講習を開催している。2021年度時点で累計6万437人のゲートキーパーを養成しており、県は2027年度に8万6000人まで増やす目標を掲げている。さらに、自殺に関する包括的相談支援体制の整備を行った市町も現在の19から全市町に広げるとしている。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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