2023/04/10
リニア問題は動くのか? JR東海新社長が静岡県知事訪問へ 静岡市長は推進派が当選
■4月12日 JR東海の丹羽新社長が川勝知事訪問
膠着しているリニア中央新幹線の問題は解決に向けて前進するのか。JR東海の丹羽俊介社長が12日、静岡県の川勝平太知事を訪問する。9日に投開票された静岡市長選挙では、リニア推進を明言している元副知事の難波喬司さんが圧勝。静岡工区のみ唯一、着工できていないリニア問題が動き出すのか注目される。
リニア中央新幹線の担当部署にあたる静岡県くらし・環境部観光局は10日、JR東海の丹羽社長が就任あいさつのために川勝知事を訪問すると発表した。日時は12日の午前11時からの30分間で、前社長の金子慎会長も同席するという。
4月1日付で就任した丹羽社長は6日、社長として初めての記者会見を開いた。その中で、大井川の水問題などを理由に静岡県が着工を認めていないリニア問題について次のように話している。
「南アルプスの静岡工区にいまだ着手できるめどが立っていない。そのために2027年の開業は困難である」
JR東海は2027年のリニア開業を掲げていたが、仮に今から静岡工区の工事を始めたとしても、2027年には間に合わないという。丹羽社長は早期開業に向けて、大井川流域市町との対話を重ねる考えを示し、工事に難色を示す川勝知事との面会の希望も口にしていた。
■静岡市はリニア推進派の難波新市長 川勝知事の元右腕
就任から2週間かからず、丹羽社長と川勝知事の面会は実現する。ただ、直接顔を合わせても事態が変化するかは不透明だ。今回の面会にも同席する金子会長も社長時代に2度、川勝知事を訪れて問題解決の糸口を探ったが、話し合いは平行線のまま終わっている。
丹羽社長の川勝知事訪問に加えて、リニア開業を期待する県民や関係者が期待を寄せるのは、新しい静岡市長の存在だ。9日に投開票された静岡市長選挙では、リニア推進を掲げた元副知事の難波喬司さんが他の候補に大差をつけて初当選した。かつて難波さんは副知事として川勝知事の右腕となっていたが、リニア問題について、こう話している。
「沿線自治体のほとんどが賛成し、すでに事業が始まっている段階。その推進に影響力のある首長は個人としての価値判断にかかわらず、行政判断としてリニア事業に協力すべき」
新たにトップを務めるJR東海の丹羽社長と静岡市の難波市長。静岡工区の着工を認める最大のキーマンとなっている川勝知事を動かすことができるのか注目される。
(SHIZUOKA Life編集部)