2023/04/24
静岡県の企業5年連続で転入超過 東京が転出先1位から陥落 脱首都圏の動き加速
■転入25件、転出19件 転入の約半分は東京から
東京から地方に本社を移す動きが広がっている。昨年、静岡県に転入した企業は転出した企業の数を上回り、5年連続の転入超過となった。転出先は愛知県がトップとなり、脱首都圏の動きが加速している。
新型コロナウイルス感染拡大により働き方は見直され、東京にオフィスを構える必要性を感じなくなった企業や、テレワークを進める企業は増えた。静岡県の動向にも、脱首都圏の動きが表れている。
帝国データバンクの調査によると、昨年、静岡県外から静岡県に転入した企業の数は25件で、静岡県外へと転出した企業19件より多かった。転入が転出を上回る転入超過は5年連続となった。
都道府県別にみると、静岡県に転入してきた企業25件のうち、約半分の12件が東京都だった。次いで、愛知県3件、滋賀県と神奈川県の2件となっている。
■静岡からの転出 “不動の1位”東京陥落、愛知が最多
一方、静岡県外への転出先で最も多かったのは愛知県の8件。2021年は12件で転出先の半分を占めるなど、これまで最多だった東京都は7件で2位となった。帝国データバンクは「首都圏へのアクセスが良く、オフィス賃料も比較的安く、気候も温暖な静岡県は転出先に選ばれるケースが増えている。静岡県からの移転先は今まで突出していた東京都から、脱首都圏の動きが加速している」と分析した。
業種別では、サービス業の転入が全体の約3分の1を占める8件で最も多かった。卸売業が6件、製造業が5件と続いている。サービス業と卸売業が多い傾向は、ここ数年変わっていない一方、製造業は2020年が9件、2021年は0件、2022年は5件と波が大きい。
静岡県外へ転出した企業の業種は、サービス業が6件で最多となった。全体の半分以上を占めた前年の13件からは大幅に減っている。他の業種は僅差で、卸売業と小売業が3件、建設業、製造業、不動産業が2件、運輸・通信業が1件となっている。
本社を東京から地方へ移す動きについて、帝国データバンクは「首都圏に必ずしもオフィスを置く必要性がないという企業の認識は、新型コロナによる一過性の現象から半恒久的なものへと定着しつつある」と説明している。テレワークやウェブ会議といったITツールを導入した企業は、低コスト・低リスクで効率的な運用を実感。コロナ禍に対応したビジネス環境の定着に伴い、企業の脱首都圏の動きは当面続くとみている。
(SHIZUOKA Life編集部)