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2023/05/09

「叱る」と「褒める」どっちに苦労?家庭教育で重視するトップ3は?10年ぶり実態調査

静岡県が10年ぶりに家庭教育実態調査を実施

■乳児・幼児、小学3、4年、中学1、2年の保護者に調査

静岡県が子育てや教育の実態や意識を調べる「家庭教育実態調査」を10年ぶりに実施し、結果を公表した。保護者が家庭教育で最も力を入れているのは、子どもの年齢を問わず「挨拶や返事、言葉づかい」とトップで、全体の約6割を占めた。また、子どもを「叱ること」より「褒めること」を苦手にしている保護者の方が多いという結果も出ている。

 

「家庭教育実態調査」は家庭における子育てや教育の実態、保護者の意識やニーズなどを調査するもので、その結果を教育支援に生かす目的がある。今回の調査は「乳児・幼児の保護者」、「小学3、4年生の保護者」、「中学1、2年生の保護者」が対象で、インターネットで6226人が回答した。回答率は15.6%だった。調査は県内の特定の地域に偏りが出ないようにしているという。

 

家庭教育で特に力を入れていることを3つまで選ぶ質問では、「挨拶や返事、言葉づかい」が、子どもの年代別に3つカテゴリーに分けた保護者全てで最も多かった。乳児・幼児の保護者と小学生の保護者は6割を超え、中学生の保護者は57.7%が選択している。

 

2番目に多かったのは「約束やルールを守ること」、3番目は「相手を思いやる気持ち」で、上位3つはどのカテゴリーの保護者も同じ。4番目は乳児・幼児の保護者と中学生の保護者が「善悪の判断」を選択したのに対し、小学生の保護者は「早寝早起き、食事などの基本的な生活習慣」だった。

 

■叱ることより褒めること苦手 中学生の保護者で顕著

子育てで子どもを「叱ること」と「褒めること」、どちらが上手くできていないかを問う項目では、小学生の保護者も中学生の保護者も「褒めること」と回答した割合が高かった。小学生の保護者は「叱ること」が46.7%に対し、「褒めること」は53.3%。中学生の保護者は「叱ること」が42.6%、「褒めること」が57.4%となっている。子どもを褒める行為自体は家庭教育の中で大切だと捉えている保護者が多いものの、上手くできない感じる時があると答えている人が多い。

 

子育ての不安や悩みとして最大5つまで選択する設問は、「忙しく、余裕をもって子どもに接することができない」、「スマートフォン、インターネット、ゲームなどをどのように利用させたらよいか不安」、「自分の子育てが正しいか自信が持てない」の3つを選ぶ割合が高かった。一方、乳児・幼児の保護者14.2%、小学生の保護者9.9%、中学生の保護者12.2%が「特になし」を選んでいる。

 

静岡県は2011、2012年度に実施した家庭教育実態調査の結果を受け、保護者の支援する取り組みを実施してきた。具体的な内容には「家庭教育支援員の養成」、「家庭教育支援教材つながるシートの開発」、「親学講座の推進(入学説明会などで保護者が家庭教育について学ぶ機会として実施)」などを挙げている。

 

■県の取り組みの効果は? 調査結果生かせているか疑問

ただ、今回の調査では「県の家庭教育支援の中で知っている取り組み」をたずねる選択式の設問に、乳児・幼児の保護者63.1%、小学生の保護者46.0%、中学生の保護者38.5%が「知っているものはない」を選んでいる。他の選択肢より圧倒的に比率が高い。一方、県が最近10年で進めてきた「つながるシート」や「親学講座」は、どの年代の子どもを持つ保護者でも5%前後にとどまっている。

 

調査は問題を解決するための手段であって目的ではない。調査の方法に問題はないのか、調査結果を取り組みに生かせているのか検証が不可欠だろう。

 

静岡県の家庭教育実態調査報告

r34tyosa.pdf (pref.shizuoka.jp)

 

SHIZUOKA Life編集部)

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