2023/05/22
ポイント還元や子育て世帯支援 物価高騰対策に36億円 50代以上に広がる危機感
■静岡市が低所得者世帯に3万円支給 給食費は負担軽減
静岡市議会が19日、物価高騰対策として36億4090万円を盛り込んだ今年度一般会計補正予算案を可決した。低所得世帯への支援に24億9500万円、子育て世帯への支援に2億6590万円、ポイント還元や割引きクーポンなどで8億8000万円を計上している。
低所得世帯への支援では公共料金や食品の価格高騰で負担が大きい世帯に対して、1世帯当たり3万円の給付金を支給する。対象は今年度の住民税非課税世帯など7万5500世帯に上る。8月上旬から支給を開始する予定だという。
子育て世帯への支援は、市立小・中学校とこども園の給食費負担軽減に乗り出す。保護者の負担を増やさずに今まで通りの栄養バランスを保った給食を提供するため、食材料費の高騰分を市が全額負担する。小学校83校、中学校43校、こども園51園で、計4万5000人ほどが対象となっている。
消費活動の維持への支援として計上されている8億8000万円は、ポイント還元事業と割引きクーポン事業の助成に充てられる。ポイント還元はスマートフォンの電子決済などを使って市内の店で買い物をすると、ポイントが付く。還元率は支払い金額の10%で、1か月当たり5000ポイントを上限にしている。今年8月から3か月間予定されている。
割引きクーポンは10%から20%以内の値引きが適用される。市内の商店街などがクーポン発行事業を展開し、割引きにかかる金額を市が助成する。期間は今年10月から12月までとなっている。
■物価高騰対策に「恩恵ない」 50代以上の市民に多い不満
食料品や公共料金など、物価高騰は歯止めがかからない。静岡市の補正予算は家計を助ける目的がある。ところが、年齢の高い世代ほど「恩恵がない」という声が大きい。50代以上の市民からは、こうした声が上がっている。
「学費が高く、仕送りが必要な大学生の子どもこそ最も教育費がかかる。子育て世帯の支援と謳うなら、子どもがいる世帯すべてをサポートする予算を組んでほしい」
「中学生以下の子どもがいないので無関係。税金を支払っているのに、ポイントとクーポンしか恩恵がない」
「静岡市の有権者は28万人で、低所得者世帯数が7万5000世帯以上もあるのだろうか。病気などで働けず生活が大変な人への支援は必要だが、そこまで多くの人に収入を得られない事情があるのか疑問」
「スマートフォン決済の仕方が分からない高齢者には得がない。最近は、どの自治体でも電子決済のポイント還元が増えているので、電子機器に疎いと社会から取り残されそうな危機感が強くなっている」
家族構成や収入などに差がある以上、全ての市民が平等と捉える政策は不可能といえる。事情があって生活に苦労している市民への支援を手厚くするのは、税金の使い道としては適性だろう。数字の根拠と分かりやすい説明があれば、納得する市民の割合は高くなる。
(SHIZUOKA Life編集部)