2023/06/04
若手・中堅の人材確保 8割の企業で苦戦 効果があった取り組みトップ3は?
■静岡県内企業の7割が人手不足 若年層の獲得に苦労
静岡県内の企業も深刻な人手不足に直面している。約8割の企業が、若年層と中間層の採用に苦しんでいる。高齢層の採用も、4割以上の企業が希望通りにいっていない。多くの企業が人材確保に苦労している中、効果を感じている取り組みもある。
静岡経済研究所は4月、県内1204社に「人材の採用と定着」に関するアンケートを実施した。406社から回答があり、その結果を公表した。
調査によると、人手が「非常に不足」の回答は9.6%、「やや不足」は61.1%で、人手不足に直面している企業が全体の7割を超えた。中でも、34歳以下の若年層は「非常に不足」が30.5%、「やや不足」が50.6%と深刻な状況が浮き彫りとなった。
求人に対する採用状況は、希望通りに進んでいると答えた企業が若年層(34歳以下)は21.3%、中間層(35~59歳)が16.0%、高齢層(60歳以上)は38.6%にとどまっている。若年層と中間層は約8割、高齢層でも6割以上が希望通りに採用ができていない。
■インターンシップ、外国人の採用 人材獲得に効果
大半の企業が人材確保に苦労する中、採用に効果があった取り組みは「インターンシップの実施」がトップだった。事前に企業の理念や社風、仕事内容などの理解を深める時間が、採用につながったと考えられる。その他、「外国人の採用」や「通年採用の実施」が上位に入っている。
<効果があった企業の割合>
①インターンシップの実施 46.2%
②外国人の採用 46.2%
③通年採用の実施 45.6%
④社員による紹介 45.0%
⑤退職者の再雇用 44.4%
■AI採用の導入、副業やプロ人材活用する企業も
実施している企業は全体の2.1%と少ないが、「AI採用の導入」は25.0%の企業が効果のあった取り組みと回答している。「兼業・副業やプロ人材の活用」を人材獲得につなげている企業もある。
若年層の採用が希望通りできている企業と、できていない企業に取り組みの差が現れた項目もあった。最も差が大きかったのは「インターンシップの実施」で21.7ポイント差、「就職説明会に参加」が14.6ポイント差、「座談会形式の説明会、カジュアル面談」は10.2ポイント差と続いた。
静岡経済研究所は「求職者とフランクな立場で接点を持ち、互いに理解し合うことが重要視されている。中には、就職説明会に必ず社長が出向き、自らの言葉で理念や想いを語ることで希望する人材が採用できたとの声も聞かれた」と分析している。
(SHIZUOKA Life編集部)