2023/06/09
静岡県の後期高齢化率過去最高 最も低かった袋井市の取り組みとビジョン
■県内の後期高齢化率16.5% 最も低い袋井市は12.4%
団塊の世代が75歳を迎え、静岡県の後期高齢化率が過去最高を更新した。65歳以上の高齢化率も過去最高となった。後期高齢化率が最も低かったのは袋井市で、人口減少と少子高齢化の対策に一定の成果が出ている。
県長寿政策課によると、人口に占める65歳以上の割合を示す高齢化率は30.4%で過去最高の数字となった。75歳以上の割合を示す後期高齢化率も16.5%で過去最高を更新した。
高齢化率は県内35市町のうち10市町で40%を超え、西伊豆町(52.6%)と川根本町(51.3%)で50%を上回った。後期高齢化率では順位が入れ替わったものの、川根本町(31.5%)、西伊豆町(31.2%)と高位となった。
後期高齢化率が最も低かったのは袋井市の12.4%で、次いで長泉町12.5%、吉田町13.2%だった。この3市町の順位は昨年と変わっていない。
袋井市は人口減少と少子高齢化の対策が結果につながりつつある。2015年時点の袋井市の人口は8万7155人で、このまま推移すると、2060年に6万7900人程度まで減少すると推計された。
■子育て女性や高齢者に雇用創出 人材活用で地域に活力
そこで袋井市は出生率の回復や子育て支援を強化し、2060年に人口8万人維持を目標に掲げた。昨年4月1日時点の人口は8万7983人と2015年時点を上回り、目標人口より約980人多い。
人口減少を食い止めている要因の1つには、雇用の創出がある。袋井市は子育て期の女性に対し、経理といった事務作業や梱包などの軽作業を自宅で自由な時間にできる働き方を推奨している。
同時に、避けては通れない超高齢社会に向け、人材の活用も掲げている。高齢者を「支えられる側」から「支える側」に転換し、生涯活躍できるまちづくりを進める。高齢者が若年層の就労機会を奪うのではなく、雇用全体を拡大して、価値の創出や福祉の向上を目指す。
例えば、定年退職した会社員に、人材が不足している農作業の仕事を手伝ってもらう。高齢者グループが担当する業務を複数人で分担して、1人当たりの負担を軽減する。元気で就労意欲のある高齢者に活躍の場をつくることで、地域に活力が生まれる。
後期高齢化率の上昇や少子高齢化の流れは避けられない。ただ、必ずしも数字を悲観する必要はない。
(SHIZUOKA Life編集部)