父の日向けの日本酒「父ヒロシ」

■藤枝市の初亀醸造　ちびまる子ちゃんの日本酒

父の日向けコラボ商品の誕生は亀がつないだ縁だった。静岡県を代表する老舗酒造「初亀醸造」が、人気アニメ「ちびまる子ちゃん」とコラボした日本酒を販売している。ちびまる子ちゃんの作者・さくらももこさんが大の亀好きで、初亀酒造の日本酒「亀」を愛したことから、3年前にタッグが実現した。

藤枝市にある初亀醸造は1636年創業と、静岡県に現存する蔵元の中では最も長い歴史を持つ。初亀酒造の日本酒を長年愛好するファンは多く、静岡市清水区出身の漫画家・さくらももこさんも、その1人だった。

さくらさんは生前、節目には初亀醸造の「亀」を注文していたという。日本酒好きも満足する確かな味。さくらさんは動物の亀が大好きだったこともあり、初亀醸造との縁が生まれた。

さくらさんが他界した後、さくらももこプロダクションと初亀醸造の関係は続いていた。そして、“逆指名”を受けたと初亀醸造の橋本謹嗣社長が明かす。

「父の日向けにまるちゃんの父・ヒロシをモチーフにした日本酒開発の打診を受けた際、さくらももこプロダクションのスタッフの方が『お酒をつくるなら初亀さんと一緒に』とおっしゃっていると伺いました。亀の縁ですね」

さくらももこさんも愛した初亀醸造の日本酒「亀」

■パッケージには父ヒロシと亀のデザイン

2年前、ちびまる子ちゃんの主人公・まるちゃんの父・ヒロシをデザインした日本酒を父の日用ギフトとして発売した。反響は大きく、特に普段は日本酒を飲まない人の購入が目立ったという。以降、毎年販売している。

今年も「純米吟醸（税込3630円）」と「純米大吟醸（税込1万4520円）」の2種類を用意した。純米吟醸は爽やかな香りと酒米「誉富士」由来の優しい甘みが口の中で広がる。パッケージには、ほろ酔いのヒロシと亀が描かれている。

純米大吟醸は“酒米の王様”と称される「山田錦」を贅沢に磨いて醸している。南国果実を思わせる香りと山田錦が持つ上品な甘さが特徴となっている。パッケージは木箱で、イラストのヒロシは燕尾服姿と豪華。もちろん、亀もデザインされている。限定223本でシリアルナンバーが入っている。

老舗の味と人気アニメのデザインがコラボした日本酒。父の日や誕生日といった記念日にぴったりな一品に仕上がっている。

（間　淳／Jun Aida）