2023/06/28
浜岡原発「稼働反対」が3割下回る 東日本大震災以来初めて 牧之原市民の意識調査
■「稼働した方が良い」は42% 昨年度から5.8ポイント上昇
静岡県牧之原市が毎年実施している市民への意識調査の結果を公表した。隣接する御前崎市にある中部電力の浜岡原発について、「停止した方が良い」の回答が調査開始以来、初めて3割を下回った。電気料金の値上げが主な要因として考えられている。
牧之原市は毎年、「子育てや教育環境」、「多文化共生」、「行政サービス」など様々な項目に関して市民の意識を調査している。その中の1つに「浜岡原発の今後についての考え方」がある。
浜岡原発は牧之原市と隣接する御前崎市にあり、現在は運転を停止している。2011年の東日本大震災で福島第一原発の事故を受けた対応で、再稼働の是非は市民の間で割れている。
今回の調査では「浜岡原発の安全が確認できれば稼働した方が良い」と回答した割合が42.2%で、昨年度から5.8ポイント増加した。「停止しておいた方が良い」と答えたのは28.5%と、2011年度の調査開始以来、初めて3割を下回った。「どちらとも言えない」は19.9%だった。
■東日本大震災翌年度は「停止」57% 昨年度初めて「稼働」が逆転
浜岡原発に関する調査をめぐっては、東日本大震災が起きた翌年度の2012年度に、「停止しておいた方が良い」の回答が57.4%に上った。ここから割合が減少傾向となり、昨年度は初めて「稼働」が「停止」を逆転した。そして、今年度は、その差が広がった形となった。
性別で比較すると、「安全が確認できれば稼働した方が良い」と答えた割合が男性は52.7%、女性は34.8%と開きがあった。年代別では「稼働」の回答が最も多かったのは50代で50.0%。次いで、40代の47.8%、20代の47.1%だった。それに対し、19歳以下は22.6%、70歳以上が30.5%と低かった。
牧之原市は、稼働の意見が増えている背景に電気料金の値上げがあるとみている。他の大手電力会社と比べて中部電力の値上げ幅は小さいものの、原発の停止が続くと将来的に値上げされる不安があるという。また、津波対策といった浜岡原発の安全性が高まっていることへの評価も数字に表れていると分析している。
今回の調査は4月28日から5月12日に実施された。牧之原市に住む16歳以上の男女を無作為に抽出し、郵送またはインターネットでの回答を求めた。対象者は1400人で有効回答は685人。回収率は48.9%だった。
(SHIZUOKA Life編集部)