2023/07/05
給与返上しない静岡県の川勝知事 “コシヒカリ”だけではない過去の不適切発言
■昨年の所得2261万円 約束の返上は果たされず
静岡県の川勝平太知事が返上を表明していた約440万円の給与を受け取っていたことが物議を醸している。給与返上の意向は、2021年に行われた参議院議員補欠選挙の応援演説の“コシヒカリ発言“に自身がペナルティを科したものだった。川勝知事の発言はコシヒカリに関する内容に限らず、過去にも議論を巻き起こしている。
7月3日、川勝知事や県議会議員らの所得が公開された。1年間の所得は毎年公開されており、川勝知事は2261万円で給与やボーナスを全額受け取っている。
知事が給与を受け取ること自体は自然なだが、川勝知事は2021年に自身の発言に対するペナルティとして、給与と期末手当の返上を公言している。約束を果たしていない行動について、県民からは「実行できないなら無責任な発言はすべきではない」、「結局、問題発言に対して謝罪する気持ちがないのではないか」といった厳しい意見が出ている。
不適切発言をしたのは、2021年10月に実施された参院静岡補選で応援演説をした時だった。支援する候補者の対抗馬が前御殿場市長だったことから「あちらはコシヒカリしかない。だから、飯だけ食って、それで農業だと思っている」と訴えた。
この発言は御殿場市民の反感を買った。県議会では史上初めて知事に対する「辞職勧告」が可決され、川勝知事は反省と謝罪の証として給与の返上を表明していた。
■過去には“女性蔑視” 首相の教養レベル痛烈批判
川勝知事の失言は珍しくない。2021年の知事選で4期目の当選を果たしたが、過去にも議論を巻き起こしたものがある。
この時の知事選の集会では女性の容姿と学力が関連するような発言をして、後日、謝罪と発言の撤回をしている。集会では、自身が学長を務めていた静岡文化芸術大学の女子学生について「学生は8割くらいが女の子。11倍の倍率を通ってくるので、みんなきれい。顔のきれいな子は賢いことを言わないと、きれいに見えない。ところが全部きれいに見える」と話した。
また、新東名高速道路の建設現場を静岡文化芸術大の女子学生と訪問した際のエピソードに触れ、「工事現場の監督はかわいい女の子が来たので、翌日から仕事がはかどり、1年半前倒しして工事を終えた」などと述べた。
2020年の定例会見では、日本学術会議の会員6人の任命が見送られた件について、当時首相だった菅義偉氏を痛烈に批判。報道陣を前に「菅義偉という人物の教養レベルが図らずも露見した。単位を取るために大学を出たのではないか」と発言した。
■「ヤクザやゴロツキがいる」 県議を念頭に失言
2019年には、県の予算要望で県議らと面談した際、自身が推すJR東静岡駅南口の事業「文化力の拠点づくり」に反対する県議を念頭に、「県議会にはヤクザもゴロツキもいる」、「反対する議員は文化力がない。県議の資格がない」などと発言。当初は発言を否定していたが、後に発言の撤回と謝罪に追い込まれた。
度重なる不適切発言に加えて、今回は給与返上の約束を果たさなかったことが批判されている川勝知事。県外に住む人からは、選挙で川勝知事の4選を信任した静岡県民に疑問を投げかける声も少なくない。
(SHIZUOKA Life編集部)