2023/07/25
15業種中12業種で売上高増加 5段階評価で1と5の企業なし 産業景気は緩やかに回復
■工作機械や二輪車部品が「好調」 食品・飲料や住宅は「低調」
民間の調査会社「静岡経済研究所」が主要産業四半世紀見通し調査の結果を発表した。15業種のうち12業種で、7~9月期の売上高が前年を上回る見通し。新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行されたことで、県内の経済活動が正常化したと分析されている。
静岡経済研究所は県内産業の現況(4~6月期)を調査し、「好調」、「順調」、「普通」、「低調」、「不調」の5段階で評価した。その結果、「好調」と「不調」の業種はなく、以下のように「順調」が4業種、「普通」が7業種、「低調」が4業種となった。
【順調】
工作機械、民生用電器部品、二輪車部品、情報サービス
【普通】
製紙、自動車部品、建設、自動車販売、物流、人材派遣、観光・レジャー
【低調】
食品・飲料、住宅、大型小売店、外食
7~9月期の見通しは引き続き「好調」と「不調」の業種がなく、大型小売店と外食が一段階上昇して「普通」、民生用電器部品が「順調」から「普通」に下降となっている。売上高は15業種中12業種が前年を上回るとしている。
■半導体不足やエネルギー価格の高騰 今後の不安材料も
静岡経済研究所は、「本県主力の自動車産業で半導体不足の影響が長引くなど一部で足踏み感が見られるものの、新型コロナの5類移行に伴って県内の経済活動は正常化。ただし、以前として原材料・エネルギー価格の高止まりや海外経済の不透明感などの不安材料が残るほか、経済活動の回復に伴って人手不足が一層深刻化する恐れもある」と分析している。
業種ごとに見ると、製造業では、高水準な受注環境が続く「工作機械」と完成車メーカーが前年を上回る生産計画を立てている「二輪車部品」は「順調」を維持している。一方、在庫の状況から夏場の増産が難しい「民生電器部品」は「順調」から「普通」に下降する見通し。半導体不足で本格的な増産に至らない「自動車部品」と価格改定が寄与する「製紙」は「普通」で変わらず、原燃料高で厳しい収益環境が続く「食品・飲料」は「低調」のまま推移する。
非製造業はデジタル化の投資が旺盛な「情報サービス」が「順調」をキープ。新型コロナによる打撃から回復している「大型小売店」や「外食」が「低調」から「普通」へ上昇。夏休みの客足が期待される「観光・レジャー」も「普通」を維持する見込み。「住宅」は物価高による購買意欲が上向かず、「低調」のまま推移するとみられる。
今回の調査は6月上旬に、アンケートとヒアリングによって実施された。県内主要15業種、169社が回答している。
(SHIZUOKA Life編集部)