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2023/08/10

ハンコが多い、資料の様式がバラバラ 職員の意見1か月で1600件 静岡市が業務改善へ

職員からの意見やアイデアを募集して業務効率化を図る静岡市

■6月から「職員アイデア提案箱」設置 目的は業務の効率化

静岡市が職員から率直な意見を募り、業務の無駄を省こうとしている。難波喬司市長が10日、6月に設置した「職員アイデア提案箱」に1か月足らずで約1600件の意見やアイデアが寄せられたと明かした。決裁のスピード向上や資料作成の効率化など、実現に向けて動き出した内容もあるという。

 

静岡市は6月5日に「職員アイデア提案箱」を設置した。日々感じている業務の課題や問題解決のアイデアなどを募集するもので、職員の声を業務変革につなげる目的がある。提案箱の設置に先立ち若手職員の研修で募集したものを含み、6月末時点で約1600件の意見が寄せられた。

 

静岡市では今までも業務の効率化を進めてきた。ただ、業務改善が個別に終わってしまい、組織全体に行き届かないケースが少なくなかったという。難波市長は10日の定例会見で、職員アイデア提案箱を導入した理由を説明した。

 

「仕事を進める上では、非効率なところはないか、無駄はないかを日常的にチェックして改善していかなければなりません。また、社会課題は刻々と変化しているので、今までのやり方がそのままで良いとは限りません。どんどん新しい方法にする必要があります」

 

■難易度と効果度 職員の意見を5段階にランク分け

職員から寄せられた意見は「難易度」と「効果度」、2つの面から5段階(A~E)にランク分けされる。Aは実施済み、Bは現行の仕組みで実現可、Eは実現困難という形だ。難易度は経費や制度改正などが必要か、効果度は時間や経費がどのくらい削減できるかなどを示している。

 

例えば、寄せられた意見の中には「決裁文書の承認過程で、必要以上に多くのハンコが押されている。最終決裁までに多くの時間を要し、数多くの人が見ることで情報漏洩などの危険性をはらんでいる」という内容があった。この意見に対して市は「承認者の数は必要最小限にするとともに、他の課に合議する際は原則、課長以上にする運用を徹底するよう通知した」と回答し、「A」とランク分けした。

 

「軽微な規則改正まで市長決裁としていること」、「各局が事業内容の説明に使う資料に統一した形式がないこと」についても対応状況を「A」とした。それぞれ、「軽易な事項や裁量の余地が比較的小さし事項は副市長専決とした」、「統一様式で業務の効率化を図り、市長以下職員が説明内容を共有できるようにした」と変革を進めている。

 

年度内に実施を表す「C」は、「各課に配置している〇〇主任などについて、形骸化しているものが多い」や「庁内の照会様式が異なるため、同一の内容を色々な書式に記載している」などが挙げられている。実現に向けた検討開始を指す「D」は「職員間でメールや電話以外に簡単な情報共有ができないこと」などがあった。

 

市は「職員アイデア提案箱」に期限を設けず、職員からの意見を常時募集している。現在は職員が総務課へ意見を提出する一方的なやり取りのみとなっているが、今後は提案者以外の職員もアイデアへの共感を示したり、意見を伝えたりできる双方向への仕組みに発展させる方針を示している。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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