2023/08/16
“お役所仕事”のイメージ払拭 若手職員が主役「市役所若者倶楽部」とは
■焼津市の2、3年目職員の研修 事業を企画・運営
若者の視点や考え方が、まちの魅力向上へとつながる。静岡県焼津市は若手職員の研修の一環として「市役所若者倶楽部」を実施している。今年度は親子ヨガ、焼津王カード、やいちゃん公式LINEスタンプなどを企画・運営する。
焼津市役所の「市役所若者倶楽部」はスタートから8年目を迎えた。入庁2、3年目の職員が班に分かれて、自分たちで事業を企画する。今年は39人の職員が6つの班で活動している。
市役所若者倶楽部は若手職員の目線で市を盛り上げる事業を展開し、地元を活性化させる目的がある。所管する市行政経営部政策企画課・大石剛平さんは、こう話す。
「まだ2、3年目の職員は異動を経験していないことが多く、自分の部署の業務しか分かりませんし、1から事業の企画を担当する機会も多くありません。経験を積む研修の一環という側面、部署を超えて同年代と一緒に仕事をして結束やつながりを深める狙いがあります」
それぞれの班は、所属する部署や男女比、入庁歴のバランスを考えて構成される。その後、班のメンバーで具体的に進めていく事業について話し合う。
■通常業務と並行して活動 負担はあっても7割が「満足」
今年度はヨガインストラクターを招き、4歳から小学2年生までの子どもと保護者を対象にした「のびのび親子ヨガ」。焼津市の公認マスコットキャラクター・やいちゃんの「LINE公式スタンプ」など、6つの事業が企画された。
入庁3年目の商工観光課・石間璃子さんは昨年に続いて「焼津王カード」を企画する班に属している。焼津王カードは焼津市の観光スポットの魅力を説明したカードで、8月1日から市内の施設で配布されている。
班は石間さんを含めて7人。カードを配布するスポットとの調整やチラシの製作・配布などを進めてきた。普段の業務をこなしながら月に1回ほど全体で集まり、担当する業務に応じて班内のメンバーが数人で話し合いを重ねたという。
市役所若者倶楽部は通常業務と並行して活動するため、職員の仕事量が増える部分はある。それでも、市行政経営部政策企画課が毎年度実施している若者倶楽部に関するアンケートでは、若手職員の7割が「満足」と回答している。今後の業務に役立つと答えた職員も8割に上るという。政策企画課・北川順也さんは「通常業務があるので各部署に負担がかかる面はありますが、若手の勉強になりますし、事業を実施することで目的としている地域活性化にもつながると考えています」と話す。
若手職員が活躍する場となっている「市役所若者倶楽部」。取り組みのゴールの1つには、若者倶楽部の企画を市の事業として継続していくことがある。若手の成長は結果的に市の魅力を高め、市民のためにもなっていく。
(間 淳/Jun Aida)