2023/09/14
台風7号による直通運転中止は「適切な判断」 混雑回避の対策は? JR東海が検証
■8月15日から3日間 東海道新幹線のダイヤ大幅な乱れ
JR東海は、8月の台風7号の影響で東海道新幹線のダイヤが大幅に乱れたことに関する検証結果をまとめた。名古屋―新大阪間の運行を中止した判断については「適切な判断だった」とし、情報発信のタイミングや内容は「不十分だった」としている。
JR東海はお盆期間の8月15日、計画運休をしたり、本数を大幅に減らしたりして東海道新幹線を運行した。翌16日は静岡県富士市に設置している雨量計が規制値に達したため、一時は全線で運転を見合わせ、山陽新幹線との直通運転を終日取りやめた。
この影響で16日夜から新大阪駅に列車が滞留し、17日も始発から遅れが生じた。乗客への情報発信が始発直前になったこともあり、混雑や混乱につながった。
3日間に渡って大幅にダイヤが乱れたことを受け、斉藤鉄夫国土交通省は「多くの旅客が移動するお盆の時期に、ご迷惑をおかけしたことは重く受け止める必要がある」とJR東海に一連の対応を検証するよう指示。JR東海は検証結果をまとめて公表した。
■天気予報当たらず 計画運休や直通運転は“空振り”
計画運休や直通運転を取りやめた15日は予報とは違い、雨の影響はなかった。結果的に新幹線を安全に運行できる天気だったが、検証結果では「判断は適切だった」としている。その理由としては「民間の気象サービスの予報では規制値を超える予測があったこと」や「直通運転を再開しても、再度運転を見合わせ、山陽新幹線にダイヤの乱れを及ぼす可能性があったこと」を挙げている。天気予報に合わせて対策を講じたものの、天気が予報通りにならなかった形だった。
新大阪駅付近で列車が集中し、滞留した理由については「新大阪駅折り返しに時間を要したこと」、「新大阪駅に休憩列車を設定したため、使用番線が減少したこと」、「検査、汚物抜き取りなどが必要なため列車を収容した鳥飼車両基地がほぼ満線となり、移動の自由度が低下したこと」などを挙げている。今後の対応は次のように示している。
「指令において、運行状況や滞留箇所など全体を把握する担当者を決め、遅延状況や車両所の滞留状況などを確認する。それを踏まえて、都度オペレーション変更の可否を判断する」
「鳥飼車両基地において滞留する列車の本数が許容量に近づいた場合、京都駅や米原駅などへの退避を実施する」
■遅れや運休 乗客への情報発信は始発直前で大混乱
乗客への情報発信が遅れた問題に関しては、「16日午後10時半の公表時は17日の始発から通常通りの運行を見込んでいたものの、遅れや運休が発生する可能性がある旨の情報を発信したが、遅れや運休を主体に発信しなかったため、お客さまには始発から通常通りと受け止められた」と説明した。結果的には遅れや運休が発生し、その情報発信は17日の始発直前となっている。JR東海は今後の対応として、次の点を挙げている。
「列車の滞留状況などを含めて厳しく見積もり、不確定要素がある旨をより明示的に発信する」
「運行の現状をより頻度高く、適切な内容を発信する」
「見通しが分かった段階で、その時の状況に合わせた内容を発信する」
台風7号では人的、物的被害は大きくなかったにもかかわらず、東海道新幹線のダイヤは長時間に渡って大幅に乱れた。JR東海は今回の検証結果を国土交通省に報告している。
(SHIZUOKA Life編集部)