2023/09/20
中古車の苦情 全体の5件に1件がビッグモーター 消費生活センターの役割は?
■ビッグモーター関連の相談1491件 5年間で1.6倍
消費者庁は、中古車販売大手ビッグモーターに関する消費生活相談が昨年度1491件に上ったと発表した。相談件数は5年間で1.6倍に増加。相談が寄せられた全国の消費生活センターが機能していない実態が明らかになった。
消費者庁によると、消費生活センターに寄せられたビッグモーターに関する相談件数は年々、増加している。2018年度は911件で翌年は1048件と1000件に到達。2020年度は200件以上増えて1271件で、2021年度は1431件まで増加した。
昨年度は1491件に上り、そのうち相談内容は「四輪自動車の購入・売却など」が88.1%を占めた。そのほかには、「四輪自動車の修理サービス」が46件、「四輪自動車の車検サービス」が31件と、いずれも前年度より増えている。
中古車に関する消費生活相談件数は昨年度、全国で7202件寄せられている。2018年度は7228件で、5年間で横ばいとなっている。2018年度が12.6%だった全体の相談件数に占めるビッグモーターの割合は昨年度、20.7%まで増加。相談の5件に1件はビッグモーターに関する内容となっている。
■全国850か所に消費生活センター 専門の相談員が対応
消費生活センターは地方公共団体が設置する行政機関で、全国の都道府県や市町村に約850か所設置されている。事業者に対する相談や苦情を受け付け、国家資格を持った消費生活相談員や専門知識や技術のある相談員が対応している。
相談は無料で、消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの相談窓口に案内される。静岡県にも東部、中部、西部の県民生活センターに加え、市町にも消費生活センターがある。
消費生活センターは「必要に応じて事業者との間に入って被害の回復を図る」、「専門知識を持った相談員がトラブル解決の手伝いをする」としている。しかし、ビッグモーターの問題に関しては相談件数が増え続け、消費者の相談に対して対策を講じたとは言い難い結果となった。
消費者庁の発表を受け、「苦情や相談件数の統計を取るだけでは意味がない。解決に導くのが役割ではないのか」、「もっと早く相談件数を公表すれば、被害を小さくできたはず。問題が大きくなってから公表しても遅い」などの声が上がっている。
(SHIZUOKA Life編集部)