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2023/10/24

東海道新幹線の静岡県内停車回数1.5倍は“空論”? 川勝知事が国交省を痛烈批判

静岡県内で東海道新幹線が停車する駅の1つ三島駅

■川勝知事が国交省を酷評「内容がお粗末であきれている」

不満をあらわにして国の試算を痛烈に批判した。国交省がリニア中央新幹線開業後に東海道新幹線の静岡県内停車回数が1.5倍になるとした試算に対し、川勝平太知事は23日の定例会見で「内容がお粗末であきれている」と繰り返した。

 

怒りを押し殺したのか、怒りを通り越していたのか、国交省の発言に対する見解を聞かれた川勝知事は淡々と厳しい言葉を並べた。

 

国交省は今月20日、リニア中央新幹線が品川から大阪まで全線開業した場合、東海道新幹線が静岡県内に停車する回数は1.5倍に増やせると試算し、10年間で1679億円の経済効果があると明らかにした。この内容について問われた川勝知事は「昨年末に国交大臣が静岡県への影響について調べると発言し、年頭の記者会見で岸田総理が自ら夏をめどに静岡県へのメリットをまとめると述べられました。それを実行してもらって、10月までかかりましたが、感謝しております」と穏やかに話し始めた。そして、国交省からの報告書を手にしながら、こう続けた。

 

「その上で、今度の国交省の発表にはあきれました。内容がおそまつ。新聞などでは停車回数が1.5倍になると見出しが躍っていますが、報告書には東海道新幹線の静岡県における列車の停車回数が現状の1.5倍程度増加した場合にどうなるかが書かれています。現状1時間で2回停車していれば、1.5をかけて3回になります。4回停車していれば6回。この掛け算は何年生くらいならできるのでしょうか?小学生ならできますか?」

 

東海道新幹線のダイヤを決める権限を持っているのは新幹線を運行する民間会社のJR東海であり、国交省ではない。川勝知事は国交省が1.5倍に停車回数を増やす前提で話を進めていることに対し「全ては1.5倍に停車回数が増えた場合と言っているだけで、あくまで過程なので実現できるか分かりません。そこがお粗末であり、あきれています」と批判した。

 

■ダイヤの決定権はJR東海 国交省の発言に疑問

さらに、岸田文雄総理の年頭会見から報告書作成までに10か月かかったことにも触れ「始発から終電まで、静岡県の駅に停まる本数を調べることは半日、長くても1日あれば調べられます。どうして10月までかかったのか。あまりにも簡単な仕事なので国交省は忘れていたでしょうか」などと指摘した。

 

国交省への不満は、まだ続く。東海道新幹線のダイヤはJR東海が決めるため、静岡県内駅への停車回数の具体的な数字を国に求めるのはハードルが高いのではないかと質問されると、次のように述べた。

 

「ハードルが高いのは、いろはのいの字。JRは民間の会社なので、ダイヤについて国がどうこう決められない。にもかかわらず、それが可能であるかのような発言を国交大臣、総理がなさった。その背景には国交省の鉄道局が可能であるというような官僚からのアドバイスがあったと思います。それを含めて、ダイヤについて県民を喜ばせることを言えないのは、すぐに分かるはずです」

 

岸田総理は年頭の記者会見で「本年はリニア全線開業に向け大きな一歩を踏み出す年にしたい。リニア開業後の東海道新幹線における静岡県内の駅などの停車頻度の増加について、夏をめどに一定の取りまとめを行い、関係者に丁寧な説明を行っていきたい」と表明した。これに対し、川勝知事は岸田総理に「部分開業後の1時間当たりのひかり、こだまの静岡県内6駅の停車回数」など6つの質問を手紙で伝えている。

 

川勝知事は、今回の国交省の試算が質問状の回答になっていないとしている。国交省からは説明に訪れる趣旨の連絡が来ていることから「説明の中で、こちらの疑念が解消する部分があるかもしれないと期待しています」と話した。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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