2023/11/15
マッチングアプリ使って恐喝か 17~20歳の5人逮捕 専門家が警鐘「出会い系と変わらない」
■「漫画参考にした」 美人局の手口で現金奪い取った疑い
静岡市で17歳から20歳の男女5人が、美人局(つつもたせ)の手口で複数の男性から現金を奪い取った疑いで逮捕された。5人はマッチングアプリで出会った女性と一緒にいた男性に因縁をつけ、現金を奪い取ったとされている。最近は出会いの場として一般的になっているマッチングアプリだが、専門家は「出会い系と大きく変わらない」と警鐘を鳴らす。
警察によると、逮捕された男女5人は10月18日、静岡市葵区で藤枝市に住む会社員の男性に対し「けんかするか、100万円払うかどちらかだ」などと脅迫し、現金3万円を脅し取ったとされている。
また、10月12日にも静岡市駿河区で21歳の男性に「25万円準備しておけ。こっちは1人くらい殺しても大丈夫」など現金を脅し取ろうとした疑いがもたれている。
犯行の手口は共通している。5人のうちの1人、専門学校生の20歳の女がマッチングアプリで男性を誘い出し、初めて会った時に仲間の男ら現れて男性を脅迫する。いわゆる美人局による手口について、「漫画を参考にした」と供述しているという。
新型コロナウイルス感染拡大で出会いの場が減ったこともあり、マッチングアプリの利用者は増加している。独身者の4人に1人はマッチングアプリを使って婚活しているというデータもある。今では出会いの場として一般的なツールになっているが、犯罪やトラブルに巻き込まれるケースは少なくない。犯罪学の専門家は「マッチングアプリは出会い系サイトと大きく変わらない」と指摘する。
■明確な定義なし 出会い系とマッチングアプリの違いは?
出会い系サイトはインターネットを介して面識のない異性と交流する場として2000年前後に流行した。だが、犯罪の温床となるリスクの高さから取り締まりや罰則が強化され、出会い系サイトの事業者は衰退した。
一方、マッチングアプリは10年ほど前から普及した。不特定多数の異性と出会う場という点では、出会い系サイトと違いはない。ただ、マッチングアプリは月額で課金する料金システムが一般的。メッセージを送信するごとに費用がかかる従量課金制の出会い系と比べると、サクラの可能性が低いと指摘されている。
また、マッチングアプリは18歳以上の独身者を対象とし、公的証明書で本人確認することが原則となっている。だが、出会い系とマッチングアプリの明確な定義はない。犯罪学の専門家は、こう話す。
「マッチングアプリは真剣交際をうたっていますが、それを利用者に証明させる手段はありません。つまり、犯罪の手段として活用する人を見分ける方法がないわけです。本人確認も実際に登録者と顔を合わせて複数の証明書と照合するわけではないので、偽ることは難しくありません。マッチングアプリが交際や結婚の場になっているのは事実ですが、出会い系サイトで結婚している人もいるので、成果とリスクという面ではどちらも大差はないと言えます」
マッチングアプリは出会いの場として手軽なだけに、利用者は今後も増えると予想される。ただ、犯罪者にとっても便利なツールとなっている一面もある。
(SHIZUOKA Life編集部)