2023/11/26
富裕層の申告漏れ過去最多 5年間で9500万円の所得隠した悪質インフルエンサーも
■1年間の申告漏れ9041億円 富裕層が全体の1割超
国税庁は直近1年間の所得税の申告漏れが9041億円に上ると発表した。富裕層の申告漏れは980億円と全体の1割以上を占め、2年連続で過去最多を更新した。
国税庁は今年6月までに実施した2022年度の税務調査の結果を公表した。調査件数は約63万7800件で、所得税の申告漏れは前年度から25.5%増えて9041億円。追徴額は29.3%増加の1368億円だった。
多額の有価証券や不動産を保有していたり、収入が多かったりする富裕層の申告漏れは前年度から16.8%増加の980億円だった。2年連続で過去最多を更新している。
業種別では経営コンサルタントの申告漏れが3367万円と最も多い。次いで、くず金卸売業の2483万円、ブリーダーの2075万円となっている。
近年増えているインフルエンサーの申告漏れもあった。SNSで子ども服のPRをしている大阪府の女性は、企業から受け取った多額の報酬を全く申告していない年や一部しか申告していない年があったという。さらに、企業との取引記録を破棄していたことも判明した。2021年までの5年間で計9500万円の申告漏れを指摘され、重加算税を含む約4000万円を追徴課税された。
重加算税は隠ぺいや仮装によって納税申告しなかった場合や過少申告した場合に課されるペナルティで、税率は無申告の場合は40%、過少申告の場合は35%となっている。悪質なケースは刑事罰が科されることもある。
静岡、愛知、岐阜、三重の東海4県を管轄する名古屋国税局も、6月までの1年間を対象にした所得税の調査結果を発表した。申告漏れは前年度から162億円増えて1141億円。追徴税は46億円増加の159億円と、過去10年間で最も多かった。
(SHIZUOKA Life編集部)