2024/01/10
太陽光パネル設置すべき? 損する人と得する人 失敗しない判断基準と注意点
■太陽光パネルのメリット 電気代の削減と災害時の対応
太陽光パネルや蓄電池など、家を建てる時には、どんな設備が必要なのか迷うケースが多い。磐田市の工務店「平松建築」の社長、平松明展さんは情報を鵜呑みにしたり、感覚で決断したりすることに警鐘を鳴らす。太陽光パネルの設置で得をする方法とは?
平松建築は注文住宅を考えている人から設備に関する質問や相談を受ける。中でも、太陽光パネルと蓄電池の必要性を聞かれることが多い。大工として10年、経営者として10年以上の経験を重ねる平松さんは「家づくりに失敗しないためには、情報を鵜呑みにする姿勢を改めることが大切です」と力を込める。太陽光パネルも蓄電池も全ての人に必要か不要か、一概には言えないためだ。
「売電価格が下がったから太陽光はやめた方が良いという単純な話ではありません。太陽光パネルの金額自体が下がっているので、費用対効果は変わってきます。コストに対してどのくらいのリターンがあるのかを計算すれば答えは出ますが、それを省いている人が多いと感じています」
太陽光パネルを設置する主なメリットは電気代の削減と災害時の対応にある。自宅で使用する電気代を太陽光でまかない、さらに電気の売却も可能となる。また、災害時に停電しても自宅で発電できる。
■10キロワット以上がオススメ 耐震性や屋根の素材を確認
ただ、太陽光発電のシステム容量として一般的な5~6キロワットの場合、システムあたりの単価が割高になり、発電量が少ないと自家消費の比率も落ちて電気料金の回収が難しくなる。平松さんは「投資効率を考えて10キロワット以上の設置を勧めています。理想を言えば13キロワットほしいです」と話す。
太陽光パネルは設置やメンテナンス、さらに売却資産税や所得税といった税金や住宅ローンの費用がかかる。その支出に対して、太陽光発電でまかなえる電気料金や売電で得られる収入を計算する。平松さんは「10キロワット以上の太陽光パネルを乗せれば、一般的に30年間で300万円以上は得をする計算になります」と説明する。
ただ、住宅によって太陽光パネルの設置に不向きなケースがある。例えば、周りに高い建物があって屋根に影がかかる時間が長くなれば投資効率は悪い。また、屋根の素材も重要だという。ビスを直接打つカラーベストは漏水リスクがあるため、メンテナンス費用が高くなる。平松さんはビスで穴を開けない立平ロックを勧めている。
最大の注意点は耐震性。10キロワット分の太陽光パネルは、500キロから1トンの重さがある。その重さを屋根に乗せても問題ない耐震性、根拠のある構造計算が必要になる。平松さんは2016年の熊本地震で、繰り返しの地震によって筋交いが折れて壊れかけた家を目にしたという。
平松さんは「計算をしない住宅会社や数字を示さずに感覚で話す営業マンもいます。家を建てる時は話を聞くだけではなくデータの裏を取ったり、根拠を明確にしたりする姿勢が大切です」は話す。太陽光パネルに限らず、家づくりで後悔しないためには購入者自身の勉強が不可欠になる。
■平松建築の公式YouTubeチャンネル
太陽光発電の知られざるメリット・デメリット
https://www.youtube.com/watch?v=mI_CZeUGJ-w
(間 淳/Jun Aida)