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2024/01/13

ジャニーズやビッグモーターでコンプライアンスに高い関心 違反で倒産した企業は過去最多

スマイルアップに社名を変更したジャニーズ事務所

■コンプラ違反の倒産件数は初の300件超 前年から70件増加

旧ジャニーズ事務所やビッグモーターなど、2023年は企業のコンプライアンスに社会の関心が集まった。大規模な粉飾決算が明らかになった東京都の堀正工業をはじめ、コンプライアンス違反で倒産した企業は昨年、記録が残る2016年以降初めて300件を超えた。

 

民間の調査会社・帝国データバンクによると、コンプライアンス違反による昨年の倒産件数は342件で、2022年から70件増加した。2年連続で前年を上回っている。

 

業種別では「サービス業」が最も多く、全体の4分の1を超える90件。次いで、「建設業」が58件、「運輸・通信業」が55件だった。運輸・通信業は全体の倒産件数に対し、コンプライアンス違反による倒産が占める割合が突出して高かった。

 

違反内容は「業法」が90件と最も多い。業法は業種ごとの基本的な事業要件を定める法律で、銀行法や酒税法、放送法や航空法など100を超える。2番目に多かったのは「粉飾」で79件。「資金使途不正」の47件、「不正受給」の29件と続いた。

 

粉飾は新型コロナウイルス感染拡大前に増加傾向にあったが、2020年のゼロぜロ融資といった各種支援策の効果もあって、表面化しづらい状況が続いていたという。しかし、2022年は前年から6件増の60件、2023年は前年から19件増の79件と再び増加に転じている。

 

■粉飾決算の規模は大型化 不正受給の倒産件数3倍増

また、粉飾決算による倒産企業の負債規模は大型化し、金融機関をはじめとする多くの取引先を巻き込む倒産が起きている。昨年7月に倒産した東京都の堀正工業は負債総額が約282億6600万円。民事再生法の適用を申請した石川県のアペックスと大阪府の白井松器械の負債は、それぞれ約91億5000万円と86億9600万円に上る。

 

不正受給による倒産件数は前年から約3倍に膨らんでいる。雇用調整助成金といった新型コロナの影響を受けた企業を支援する制度の悪用が背景にある。帝国データバンクは、コンプライアンス違反による倒産件数が過去最多を更新したことについて次のようにまとめている。

 

「倒産の抑制要因ともなった民間ゼロゼロ融資などの返済にあわせて、金融機関に対して追加支援を申し入れた際に粉飾決算が発覚し、資金調達の道を断たれて息詰まるケースが目立った。引き続きコンプライアンス違反に対して社会の厳しい目が注がれる状況だけに、些細な違反でも信用を大きく失墜させることもあり、倒産に至るリスクは高まっていると考えられる」

 

旧ジャニーズ事務所やビッグモーターのように業界のトップ企業によるコンプライアンス違反が発覚すれば、その波紋は広がる。静岡県の企業や経済への影響も小さくない。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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