2024/01/15
野球振興だけではない 静岡県初のプロ球団ハヤテ223 静岡市と担う5つの役割
■ハヤテ223と静岡市 包括連携協定を締結
静岡県初となるプロ野球の球団は、競技を超えた多岐に渡る可能性を秘めている。静岡市を本拠地とするハヤテ223が来シーズンからプロ野球2軍のウエスタン・リーグに参加する。静岡市とハヤテ223は包括連携協定を結び、スポーツの推進にとどまらず、農業や教育など5つの分野でともに歩みを進めていく。
昨年11月22日、プロ野球オーナー会議でハヤテ223の参加が正式に承認された。翌日、静岡市のプロ野球球団創設推進室はプロ野球球団連携推進室に名称を変えた。推進から連携へ。次のフェイズに移ったのだ。
プロ野球球団連携推進室は昨年4月に新設された。最大のミッションは、静岡市が保有する清水庵原球場の本拠地化。そのために、周辺住民や地元野球団体の理解を得たり、球場を整備・改修したりするなど、ハヤテ223をサポートする。
ただ、役割は野球だけにとどまらない。連携推進室の山野井伸吾室長は「プロスポーツチームを地域の大切な資源として捉え、チームと連携したまちづくりを推進していくことも静岡市の役割です」と説明する。
■金融・保育・AIなど ハヤテグループはスペシャリスト集団
静岡市とハヤテ223は地方創生の推進に向けた連携に関する協定を結んでいる。その中には、スポーツの推進に加えて、「農業振興」、「移住・定住の推進」、「教育振興」、「産業振興」と連携していく5つの分野を位置付けている。
農業振興では、清水庵原球場がある庵原地域の特性を生かした取り組みを進めていく。例えば、県内有数の産地となっているミカンの収穫をハヤテ223の選手がボランティアで手伝ったり、ホームゲームでミカンをPRしたりする活動を想定している。
移住・定住、教育、産業といった分野はハヤテグループの強みを最大限に生かす。ハヤテグループは金融、保育、AI、環境・エネルギーといった事業を中核とし、各分野のスペシャリストが在籍する。その知識や経験を活用していくという。山野井室長は「野球とかけ離れた分野に感じるかもしれませんが、今回の球団創設を機に、地域でハヤテグループ固有の強みやプロ野球の価値を活用して掛け合わせることで、地域の課題解消や新たな価値の創出につなげていけると思っています」と語った。
ハヤテ223は静岡県で初めて誕生したプロ野球の球団ではあるが、静岡市はこれまでもプロスポーツチームとの連携を進めてきた。市内にはハヤテ223と同じ清水区に本拠地スタジアムを置くサッカーJ2・清水エスパルス、さらにバスケットB2・ベルテックス静岡がある。どちらのチームも市と力を合わせて、競技の普及だけにとどまらない幅広い活動を続けている。
プロスポーツチームには競技を超えた力や役割がある。「ハヤテ223もエスパルやベルテックスのように市民や地域に愛される存在になれると期待しています。そして、2つのクラブにはない強みを地域で発揮してほしいですし、その支援を静岡市がしていきたいと考えています」と山野井室長。ハヤテ223には市民の生活文化向上や地域経済の活性化も期待されている。
(間 淳/Jun Aida)