2024/02/15
大河ドラマ館で明暗 静岡市は目標の56%止まり 浜松市に“大敗”した理由
■来館者50万人目標 浜松市は64万人、静岡市は28万人
静岡市と浜松市も舞台になったNHK大河ドラマ「どうする家康」の大河ドラマ館で、両政令市の明暗が分かれた。両市とも年間来館者50万人を目標に掲げ、浜松市は64万人を超えた。一方、静岡市は28万人にとどまった。
嵐の松本潤さんが主演を務めた「どうする家康」は昨年12月17日に幕を下ろした。最終回は静岡市の静岡市民文化会館でパブリックビューイング&トークショーが開催され、松本さんや共演した松嶋菜々子さんや小手伸也さんらが登壇した。
静岡市と浜松市ではドラマの放送に合わせて大河ドラマ館をオープンした。静岡市は先月28日、浜松市は先月14日に閉館。両市とも約1年間の開館期間で、来館者50万人を目標に掲げた。
浜松市の大河ドラマ館には約64万人が訪れて目標を達成した。一方、静岡市の大河ドラマ館を訪れたのは約28万人。目標の56%と来館者数を伸ばせなかった。両市より一足早い1月8日に閉館した愛知県岡崎市の大河ドラマ館の来館者は約63万6000人だった。
■原因は「立地」 静岡駅から徒歩25分、駐車場も不十分
なぜ、静岡市の大河ドラマ館は浜松市や岡崎市に“大敗”したのか。市の職員は要因の1つに「立地」を挙げる。大河ドラマ館の場所は浅間神社の敷地内。徳川家康が元服式(現在の成人式)を行ったとされるかかわりが深いところだが、JR静岡駅から約2キロの距離にある。
徒歩で25分ほどかかるため、市は静岡駅と大河ドラマ館を結ぶシャトルバスを運行した。市の職員は、こう話す。
「交通の便が良くないという声は少なくありませんでした。家康ゆかりの場所という意味では、静岡駅から徒歩圏内の駿府城公園があります。駿府城公園や歴史博物館と合わせて大河ドラマ館を訪れてもらう形にした方が良かったという意見もありますが、その通りだと思います」
駿府城公園は徳川家康が大御所として済んだ駿府城跡を公園に整備したもので、観光スポットとなっている。また、駿府城公園の目の前には、昨年1月にオープンしたばかりの静岡市歴史博物館もある。市の職員は、駿府城公園か歴史博物館の中に大河ドラマ館をつくれば相乗効果が期待できたと指摘する。
また、駐車場の問題も来館者が伸びなかった理由に挙げる。首都圏と違い、静岡市への観光客は車を利用する人が多い。特に静岡県民は公共交通機関よりも車で行動する傾向が高い。浅間神社の駐車場は80台とスペースが広いとは言えない。当然、参拝客も利用するため、週末は満車となる。
周辺には一般の駐車場があるものの、数は多くない。駐車場の問題を考えると、大河ドラマ館の訪問に消極的になる人もいるだろう。
■おんな城主直虎の来館者78万人 鎌倉殿の13人は19万人
過去の大河ドラマ館の来館者を振り返ると、静岡市がいかに少ないかが分かる。浜松市を舞台にした「おんな城主直虎」の放送に合わせて、2018年1月まで約1年間開館した浜松市北区細江町の大河ドラマ館には78万人以上が来館。交通アクセスに恵まれているとは言えない場所だったが、当初予想していた50万人を大きく上回った。
昨年閉館した「鎌倉殿の13人」の大河ドラマ館の来館者は約19万人。大河ドラマ館が設置された伊豆の国市の人口は約4万6000人で、約67万5000人の静岡市と比べると、15分の1ほどの規模になる。
大河ドラマ館はPRやシャトルバスの運行などを含めて、税金が使われている。目標としていた来館者数に遠く及ばなかった静岡市は原因を詳しく分析し、市民が納得いく形で次回以降の対策につなげる必要がある。
(SHIZUOKA Life編集部)