美肌温泉証に認定された熱海市の古屋温泉

■熱海市の古屋旅館　「バリア・オアシス温泉」に認定

創業200年を超える熱海市の宿泊施設「古屋旅館」が静岡県で初めて、「美肌温泉」と認定された。肌の潤いを高める効果が科学的に証明されたという。古屋旅館は熱海七湯の1つ「清左衛門の湯」の源泉100％かけ流しを特徴としている。

古屋旅館は、化粧品を製造・販売する「ポーラ・オルビスホールディングス」が美肌効果を科学的に分析して認証する「美肌温泉証」を受けたと発表した。認定は1月23日付で、県内で第1号となった。

美肌温泉証はポーラ・オルビスグループの研究所が2021年に始めた取り組みで、浴槽に注ぐ温泉水を分析して直接的な肌への影響を考察する。温泉成分、温泉が角質に及ぼす影響、温泉が皮脂に及ぼす影響について分析して、美肌効果を6つのタイプに分類する。

古屋旅館は「バリア・オアシス温泉」に認定された。角質細胞のはがれ具合が適度に調整されて潤い力が高くなる効果があるとされている。肌のカサカサやチクチクが気になる人にお勧めの温泉だという。

「清左衛門の湯」を引き込んだ室内露天風呂付き客室

■利用者迎え入れる門　黒澤明監督の映画「影武者」に登場

古屋旅館の温泉は、江戸時代から湧き出ている熱海七湯の1つ「清左衛門の湯」を客室風呂に引き込んでいる。循環設備や過熱設備などを一切使わない100％天然温泉を特徴としている。

これまでに利用客から入浴後の肌の状態を喜ぶ声が多数寄せられていたが、美肌効果の科学的根拠がなかった。利用客に正確な情報を伝える目的でポーラ・オルビスホールディングスに分析を依頼したという。

清左衛門の湯は、かつて清左衛門という百姓が馬を走らせていたところ、湯壺に落ちたことに由来する。この湯は「清左衛門がいない！」と叫ぶと、魔法のように大きく湧いたと言われている。

古屋旅館は1806年創業の老舗旅館。玄関で利用者を迎え入れる「武田信玄屋形門」は施設のシンボルで、黒澤明監督の映画「影武者」にも登場している。日本一古いラジオや写楽の版画といった歴史を感じられる展示や、熱海の市街地にありながら静かで落ち着いた館内も人気の理由となっている。

（SHIZUOKA Life編集部）