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2024/03/17

医大の準硬式で自信と手応え ”二刀流”に目標修正 医師&プロ野球選手を実現

医師国家試験に合格したくふうハヤテ・竹内投手

■くふうハヤテ竹内奎人投手 医師国家試験に合格

静岡県で新たな歴史が幕開けした。今シーズンからウエスタン・リーグに参加している「くふうハヤテベンチャーズ静岡」はオリックスとの開幕3連戦で3連敗を喫した。プロ野球の壁に跳ね返される苦いスタートとなったが、明るい材料や話題性もある。開幕戦で登板した静岡高校出身の竹内奎人投手は、プレー以外の面でも注目されている。

 

プロ野球の壁は高い。1軍の主力選手が開幕に向けた調整で出場していることもあり、オリックスに3戦全敗。初勝利は次戦以降に持ち越しとなった。それでも、本拠地「ちゅ~るスタジアム清水」には多くのファンが集まり、静岡県に初めて誕生したプロ野球チームに声援を送った。

 

66年ぶりの新規球団、さらには2軍だけの球団とあって、くふうハヤテは県内だけではなく全国でも注目されている。その中で、異色の投手として話題となったのが竹内投手。静岡高校から群馬大学医学部に進学し、今年2月に医師国家試験を受けた。

 

オリックスとの開幕戦に2番手で登板した15日、竹内投手はマウンド上で試験結果が発表される午後2時を迎えた。試合後に合格を確認し、プロ野球選手と医師の“二刀流”を実現させた。

【画像】くふうハヤテにはNPB12球団でプレーした選手も所属

■大学は準硬式 練習メニュー自分で考えて球速アップ

竹内はチームが始動した1月から、野球と試験勉強の両立を続けてきた。チームの承諾を得て、全体練習を半日で切り上げて午後から勉強する日もあった。1日5時間ほど勉強時間を確保し、ウエスタン・リーグの開幕を見据えながら2月上旬の国家試験へラストスパートをかけた。現役プロ野球選手が医師免許取得を目指す異例の挑戦にも「野球の練習をしてから勉強するサイクルができると、勉強の効率が上がると思っています」と自信を見せていた。

 

静岡高校時代に甲子園へ出場した竹内投手は、群馬大学で硬式野球部ではなく準硬式を選んだ。当初は“二刀流”のビジョンを描いていなかった。全体練習は平日が2回と土曜日の週3回。その他の曜日は自主練習に取り組んだ。専門の指導者はいないため、トレーニングメニューは自ら考えていたという。

 

勉強と両立するため、野球では限られた時間を有効活用した。最速は高校時代から6キロアップして147キロ。自身の成長を感じると、新たな目標が芽生えた。

 

「自信や手応えを得て、現実的な目標としてプロを目指そうと考えました。それから、自分がプロで活躍して、知名度が低い準硬式を広く知ってもらいたい気持ちもありました。挑戦できるのは今しかありません。このまま医師になっても一生後悔すると思ったので迷いはなかったです」

 

■「野球に2年間集中して上手くいかなかった時は区切り」

高校時代を過ごした静岡市に誕生した「くふうハヤテ」の入団テストを受けて合格。ここからドラフト会議でNPB12球団の指名を待つ。群馬大医学部6年生で現在24歳の竹内投手は、挑戦の期限を2年間と決めている。

 

「自分の一番の弱点は勉強があって野球に集中できる環境ではなかったところです。年齢的な部分もありますし、野球に2年間集中して上手くいかなかった時は区切りをつけるつもりです」

 

15日の初登板は3回3失点、4四球と満足のいく結果を残せなかった。ただ、課題を見つけて原因を追究し、修正する術は勉強で身に付けている。竹内投手は「勉強は野球に生きる部分が多いと感じています」と話す。医師国家試験合格という1つ目の目標をクリアし、2つ目のドラフト指名を見据える。

 

(間 淳/Jun Aida

 

★くふうハヤテにはNPB12球団でプレーしていた選手も多数在籍

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