2022/08/23
子どもの発想が未来やまちを変える 「株式会社こども会議(仮)」が“事業拡大”で東京進出
■静岡市の家具メーカー社長らが立ち上げた架空の会社 “社員”は3~15歳
子どもの意見が、まちや未来を変える。静岡県静岡市の家具メーカー社長が中心となって始めた架空の会社「株式会社こども会議(仮)」が、東京都の二子玉川に事業所を設立する。新たに“社員”や“株主”、サポート隊を募集して事業を拡大。子どもたちが本気で臨む「会議ごっこ」が近い将来、大人による本物の会議以上の決定権を持つかもしれない。
子どもたちによる架空の会社「株式会社こども会議(仮)」は、“社員”と呼ばれる子どもたちが、オンラインで地域や企業の問題について解決策を話し合う。静岡市で子ども向けの家具を製造・販売する「株式会社えて(通称えて静岡基地)」の社長・安池中也さんをはじめ、俳優、教師、アナウンサー、IT系マネージャーら様々な業種の大人たちが始めたプロジェクトだ。
新型コロナウイルスの感染拡大により学校が休校となっていた2020年、「株式会社こども会議(仮)」はスタートした。安池さんは「学校が休校になったり、外出自粛が要請されたりする中で、子どもたちが社会とつながる機会をつくりたいと考えました。社会の役に立つ喜びを感じてほしいと思いました」と立ち上げの理由を明かす。
「株式会社こども会議(仮)」は架空の会社ではあるが、本物の会社さながらの仕組みとなっている。会議に参加する3歳から15歳の子どもたちを「社員」と呼び、賛同者を「株主」として活動資金となる「出資金」を募っている。
■“社員”は85人 実際に地元企業から依頼を受けて商品開発
現在、「社員」は85人で、世界11カ国に「社員」がいる。「株主」になれば、オンライン会議の見学、議案の提案、株主総会への出席などが可能となる。部署も本格的で、「国際事業部」、「商品開発事業部」、「営業企画部」、「ロビー事業部」など多岐に渡る。
オンライン会議では「学校に行くと、なぜか涙が出てしまう」といった子どものからの悩みや、商品開発といった企業からの依頼など様々なテーマについて話し合う。実際、子どもたちのアイデアが形になったケースもある。
静岡市に本社を置く弁当や総菜販売のチェーン店「天神屋」で販売されたおにぎり「こんこんきつねむすび」は、「株式会社こども会議(仮)」が開発の依頼を受けて商品化された。子どもたちは会議でアイデアを出したり、イラスト入りの資料をつくったりして、天神屋の商品開発メンバーを交えて議論を重ねた。商品は27店舗で販売され、連日完売する好評ぶりだったという。
■二子玉川の未来つくる新事業 “新入社員”や“株主”募集
こうした実績を積み重ねてきた「株式会社こども会議(仮)」は今回、東京都にある百貨店・玉川高島屋を運営する「東神開発」から、「二子玉川の未来を一緒に考えてほしい」と依頼を受けた。それに伴い、二子玉川事業所の開設を決定し、「新入社員」の募集も開始した。
募集要項には、「二子玉川に来訪でき、自分たちで二子玉川の未来をつくりたい方」、「SDGsに関心があり、地球に優しいまちをつくってみたい方」、「オンラインで日本全国、世界の子どもと話してみたい方」など、6つの条件のうち1つでも当てはまる3歳から15歳までの子どもに入社を検討してほしいと記している。
16歳以上は、運営スタッフとして参加できる。また、活動を支援する「サポート隊」や「株主」も合わせて募集している。
オンラインを飛び出し、新たな挑戦を始める「株式会社こども会議(仮)」。子どもたちのアイデアが、地域や未来をつくる。
(間 淳/Jun Aida)