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2024/04/12

日本一ペットに優しいまちへ 犬が不得意な人とも共存目指す「イヌ高原」の挑戦

■犬と利用できる施設300か所 犬好きに有名な伊豆高原

犬好きには有名なエリアとなった。だが、まだゴールは先にある。静岡県伊東市にある伊豆高原が、「日本一のペットフレンドリーシティ」に向けて歩みを進めている。犬と一緒に利用できる施設の充実はもちろん、犬を飼っていない人や得意ではない人とも共存できるまちづくりを目指す。

 

【写真】犬好きの観光客が多い伊豆地域 ドッグマッサージのお店も

 

静岡県の最東部にある伊東市。その南東部にある伊豆高原は犬に優しい地域として知られ、「イヌ高原」とも呼ばれている。なぜ、伊豆高原が犬を飼う人たちの旅行先として人気になったのか。その理由を伊豆高原観光オフィス(IKO)の専務理事・利岡正基さんが説明する。

 

「このエリアは1969年の伊豆急行開通に合わせて、大規模な開発が行われました。住宅に加えてホテルやペンションが建設されてリゾート地になりました。住民や観光客が多くなればペットも増えるので、ペットと過ごせる店や施設が増えるサイクルが生まれたのだとみられています」

 

伊豆高原には現在、犬を連れて利用できる施設が約300か所ある。調査を始めた2020年から毎年20~30か所ほど増加。特に、新型コロナウイルス感染拡大による行動制限が緩和されてから動きが加速している。

2年連続で開催している「伊豆高原わんわんマルシェ」

■訪問者の8割は首都圏から 車で2時間半の利便性

伊豆高原を代表する観光地の1つ、大室山リフトでは犬を連れた利用者が年々増えており、年間3万匹以上の犬が訪れているという。その他にも伊豆ぐらんぱる公園、伊豆シャボテン動物公園、神祇大社など犬と一緒に遊べる観光地は多い。観光客だけではなく、地元の人や別荘を持つ人も訪れている。

 

伊豆高原に犬を飼っている人が集まるのは「地の利」もある。車で2時間半ほどの距離にある首都圏からの訪問者が約8割に上る。特に、長距離移動が苦手な犬にとっては負担が少なく、飼い主の安心材料となる宇。そして、自然豊かで犬と泊まれる施設が約120か所あるところも魅力となっている。

 

インターネットで「犬」、「旅行」、「おすすめ」といったキーワードを入力して検索すると、伊豆高原は上位に表示される。ただ、犬に優しいエリアの地位を確立しても胡坐をかくつもりはない。3月には2年連続で「伊豆高原わんわんマルシェ」を開催。愛犬のためのファッションや防災グッズを販売する店、似顔絵や写真撮影のブースを設けた。さらに、今年は初の試みとして、その前日に「動物と人の共生社会」をテーマにペット事業を展開する企業や獣医師を招いたイベントも開いている。

 

こうしたイベントは犬を通じて伊豆高原を知ってもらうことやペット事業の発展を加速させることに加えて、犬が得意ではない住民や観光客とも共存する狙いがある。利岡さんが語る。

 

「ワンちゃん連れの観光客が多くなると、トラブルのリスクは高くなります。ワンちゃんとの旅行に慣れている方ばかりではありません。ワンちゃんと一緒に過ごす人だけではなく、誰もが気持ちよく過ごせるまちづくりが必要だと思っています」

IKOの利岡さんは活動の中心を担う

■猫好きの施設も充実 日本一のペットフレンドリーシティ目指す

伊豆高原では、犬と一緒に利用できることをはっきりと案内している店や施設がある。ただ、一目では分からない場所も少なくないため、中には入店してから気を悪くする利用者が出てくる可能性がある。伊豆高原観光オフィスは犬を飼っている人も飼っていない人も安心して過ごせるよう、犬同伴で利用できる場所かどうか明確に分かるサインをつくる考えを示している。

 

その他にも、住民や施設スタッフにペットの救急隊員資格の取得を促進し、住民も観光客も安心できる地域を目指す。さらに、地元の保護犬活動をしている団体、動物病院、ペット関連の企業などとも連携を深め、「犬の聖地」としての価値を高めていく。

 

まだ犬ほどの知名度はないが、実は猫好きが楽しめる施設や宿泊施設もある伊豆高原。犬や猫が安心・安全に、そして飼い主も動物を飼っていない人も楽しめるまちへ。誰もが認める「日本一のペットフレンドリーシティ」を見据える。

 

(間 淳/Jun Aida

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