2024/04/19
“ボロ家報道”のいなば食品が謝罪 保健所の許可なく2か月間製造 製品に問題なし
■食品衛生法違反 週刊文春の報道受けて説明
“ボロ家ハラスメント“に続き、週刊誌に食品衛生法違反を報じられた静岡市のいなば食品が報道内容を認めて謝罪した。工場の移設許可申請が2か月遅れ、事前申請義務違反になったという。衛生上の危険はないと判断されたことから、商品の回収などは行っていない。
いなば食品は「くふうハヤテベンチャーズ静岡」の本拠地のネーミングライツを取得
週刊文集は17日、缶詰製造大手のいなば食品が昨年の一時期、食品衛生法に違反した状態で缶詰を製造していたと報じた。独自に入手したいなば食品の社内資料をもとに記事を作成している。
この報道を受け、いなば食品は18日に公式ホームページで事情を説明して謝罪した。昨年5月に新設した鶏肉ボイル工程の工場構内移設許可申請が約2か月遅れ、食品衛生法に明記されている事前申請義務に違反したという。
昨年7月に静岡市保健所による立ち入り検査と製品検査を受けた結果、食品衛生上の危害が生じる恐れはなかった。回収命令などはなく、出荷されている製品にも問題ないと判断されたという。いなば食品ではツナや鶏肉・豚肉といった缶詰などのほか、猫用おやつ「CIOちゅ~る」も製造しているが、飼料として扱われるペットフードは食品衛生法の対象から外れている。
いなば食品は「この度、多大なるご迷惑、ご心配をおかけしましたことを心より深くお詫び申し上げます。今後とも、引き続き弊社商品にご愛顧賜りますよう心よりお願い申し上げます」とコメント。再発防止に向けて昨年7月から毎月1、2回、監察官庁との定期協議を開始し、継続しているとしている。
■1週間前には“ボロ家ハラスメント”の釈明と謝罪
いなば食品の食品衛生法違反を取り上げた1週間前、週刊文春は“ボロ家ハラスメント”と表現した記事を掲載している。今春に入社予定だった一般職採用の職員19人のうち9割が入社を辞退し、その理由に静岡市清水区由比にある社宅があったと伝えている。入社前は真新しい社員寮が完成したと聞いていたにもかかわらず、実際に案内されたのは古い一軒家ばかりで、そこで2~4人に分かれて共同生活をするように言われたという。
いなば食品は「由比のシェアハウス報道について」と題したお知らせを公式ホームページで公開している。ボロ家での共同生活を求めたと指摘された点に関しては、次のようにコメントした。
「由比のご指摘をされたシェアハウス1件に関してですが、同地由比のシェアハウス対象物件は計6棟でございます。すでに3棟に5名の一般職(転勤のない事務職・工場勤務職)入居者がおり毎日勤務しております」
「今回の対象は唯一の新規の1棟でした。弊社はこの物件を含め、全てのシェアハウスに関して3月20日~26日にかけ、全家屋の点検・クリーニングを実施、完了しておりました。新卒で、勤務場所に原則異動のない新卒「一般職」社員の各位も新たに上記物件に入居し勤務を開始しております」
■シェアハウスの現状をHPで公開 16日までに改修完了
また、今春から加わる新入社員については「一般職」が43人、事例で国内外へ異動する「総合職」が55人の計98人としている。そして、こう説明している。
「1月10日に死亡2月1日に社葬となった、新卒受け入れに全幅の信頼をおいていた副社長を失って以来、業務引継ぎ体制を整えるのに時間を要し、会社は3月15日付で新総務担当を急遽任命したものの改修業務に残った期限に余裕がなく、修正が極めて遅れました。本当に申し訳ございませんでした。その結果、今回職場異動のない新卒一般職の16名の方々がご入社辞退となり、心より深くお詫びいたします」
「今回、工場配属の一般職ご入居の皆さまに対し、十分なご説明を申し上げることができませんでした点を深くお詫びいたします」
いなば食品はシェアハウスの現状をホームページで公開し「全件健全で居住場所としては適切な物件を内検の上、選択しておりますのでご安心ください。このたびは改修作業が大変に遅れ、皆さまに非常にご不快をおかけしています」としている。16日までに、改修はほぼ完了する予定となっている。
(SHIZUOKA Life編集部)