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2022/09/03

マスク着用拒んだ乗客を途中下車させて全国初の行政処分 伊豆箱根バスの感染症対策とは?

静岡県内を運行する伊豆箱根バス

■バス2台を25日間使用停止とする行政処分 予備車両運行で支障なし

賛否両論が割れている。マスクの着用を拒んだ乗客をバス停以外の場所で下車させたとして、静岡県三島市のバス会社「伊豆箱根バス」が国土交通省中部運輸局から行政処分を受けた。全国初のケースで、インターネット上では運転手の対応に意見が分かれている。伊豆箱根バスは静岡県内を運行する他のバス会社よりも厳しい感染症対策を打ち出しているが、最近は従業員の感染が相次いでいる。

 

伊豆箱根バスによると、47日、静岡県沼津市にある観光施設「伊豆・三津シーパラダイス」と伊豆箱根鉄道の伊豆長岡駅を結ぶ路線を運行中、運転手の判断で乗客1人をバス停以外の場所で降車させた。

 

これに対し、422日に中部運輸局の監査を受けた結果、91日に行政処分を受けた。事業者として運転手の指導監督が不適切だったと判断された。

 

行政処分はバス2台を25日間の使用停止とするものだが、予備車両があるため、処分後もバス運行に支障はないという。伊豆箱根バスは「処分を厳粛かつ真摯に受け止め、再発防止に向けて全力で取り組んでまいります」とコメントしている。

 

■新型コロナ対策の一環 他の乗客25人に配慮した運転手の判断

乗客を途中下車させたのは、運転手独自の判断だった。新型コロナ対策の一環でマスクの着用を求めたが、拒まれたためバス停ではないところで下車させた。当時、車内にいた約25人の乗客に配慮した判断だったという。

 

行政処分を出した中部運輸局は、乗客を途中下車させた運転手の行為が道路運送法に違反すると判断した。正当な理由なく、乗車を拒絶できないとするものだ。道路運送は乗車が大前提とし、車内で暴れて制止に従わないなど、運行に著しい支障が生じるケースや、公序良俗に違反するケースを除いて、乗車を拒否できない。

 

インターネット上では、行政処分について賛否が分かれている。「マスクを着用しなければ、他の乗客に迷惑がかかる」という声がある一方、「途中下車させるのは疑問」といった意見もある。

 

■他のバス会社よりも厳しい感染症対策 最近は従業員の感染相次ぐ

伊豆箱根バスの新型コロナ感染症対策は、静岡県内を運行するバス会社と比べると、厳しい内容となっている。検温、消毒、車内換気などの基本的なものに加えて、ソーシャルディスタンス確保を目的に客席の最前列は使用禁止。運転席は飛沫感染を防ぐビニールカーテンで囲まれている。他の会社が運行するバスには最前列も乗客が座っているケースがある中、運行に影響が出ないように運転手の感染を防ごうとしている。

 

それでも、最近は従業員の感染が相次いでいる。伊豆箱根バスによると、822日と92日、ともに三島営業所で勤務する従業員の感染が判明している。従業員の感染者が増えれば、バスの運行に影響する可能性がある。また、マスク着用を拒否した乗客を途中下車させた路線は、大学病院の利用者や、移動する手段のない地元の高齢者の乗車が多い。

 

運転手の判断には、様々な要因が考えられる。ただ、乗車を拒む行為が全面的に正しいとは言い難い。他のバス会社でも、バス以外の交通機関でも起こり得る問題なだけに、トラブルを避けるには明確なルールを示す必要がある。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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