生活に新しい一色
一歩踏み出す生き方
静岡のニュース・情報サイト

検索

情報募集

menu

2024/08/31

浜松市長が「台風近づくと高揚感」を謝罪 発言の真意は? 市民の批判と同情交錯

■中野祐介市長が謝罪 「市民の感情から離れた発言だった」

台風10号が近づき、市内の12万世帯以上に避難指示が出される中、浜松市の中野祐介市長が「台風が近づくと高揚する」と発言していたことが明らかになった。中野市長は発言に至った理由を説明して謝罪した。市民からは批判の声が届く一方、同情する意見もある。

 

不適切な発言があったのは、8月28日の夕方だった。中野市長は闘病生活から復帰した地元県議のフォーラムで挨拶した際、次のように話した。

 

「これからの活躍に対する期待感と台風が近づくとなぜか高揚する。そんな高揚感があります」

 

フォーラムが開催されていた時、浜松市は台風接近に伴って市内12万世帯余りに避難指示を出していた。発言を問題視した一部メディアがネットニュースで報道したことを受け、中野市長は翌日29日の定例記者会見で次のように謝罪した。

 

「昨日の夕方に市内で行われた会合におきまして、今接近している台風10号について不適切な発言をしてしまいました。市民の皆さんの思い、感情から離れた不適切な発言だと思っておりまして、発言の撤回と謝罪を申し上げます。申し訳ありませんでした。これからは改めて市民の皆さんに寄り添って、慎重な発言を心掛けたいと思っております」

浜松市の中野市長(本人のフェイスブックより)

■災害の専門家を自負 「士気を高めないと乗り越えられない」

中野市長は総務省時代を含めて災害対策に注力してきたという。自身を「防災屋」と表現して専門家を自負している。発言の意図を、こう説明した。

 

「これから災害が来るかもしれないという時は気を張って、何としても災害を乗り越えるということで士気を高めないと乗り越えられないところがあります。ただ、高揚感と表現したのはまずかったと反省しています。お詫びを申し上げるしかありません」

 

フォーラムに出席したことへの是非を問われると、中野市長は「市の災害対策に支障が出ない形で対応を取っていました」と説明した。当時は雨が小康状態で、市内に開設した避難所に避難していた人もいなかったという。

 

「被害にも応急対応を着手済みでありましたし、何よりも昨日の早朝段階で市役所の災害対策を一段階引き上げて万全の態勢を取っていたので、総合的に勘案して出席しました。もちろん、いつでも連絡を取れる態勢を取っていましたし、会場から市役所まで5分あれば戻ってこられる距離でした」

 

■市民は批判と同情 「表現ふさわしくない」、「言いたいことは分かる」

中野市長による不適切な発言が報道されると、翌日までに市役所には市民から電話とメール、それぞれ3件ずつ問い合わせが届いた。発言を批判する内容だったという。

 

他の市民からも「表現がふさわしくない」、「市長という立場をわきまえた発言を心掛けてほしい」、「今の市長に代わってから浜松に関するニュースが極端に減ったが、不適切な発言で注目されるとは」といった意見が出ている。

 

一方、同情や理解を示す市民もいる。高揚感という言葉には違和感を覚えながらも「市長の言いたいことは分かる。災害対応は普段からギアを上げる必要がある」、「政治の話題は失言や不祥事ばかり。報道機関は立場ある人の不適切な発言を待っているような風潮がある」などの声もあった。

 

SHIZUOKA Life編集部)

関連記事