2022/10/22
郵便ポストが撮影スポット!? 外国人も訪れる静岡市のユニークな“観光地”
■郵便ポストや公衆電話 プラモデルをかたどったモニュメント
政府による新型コロナウイルスの水際対策は緩和され、全国旅行支援も始まった。静岡県でも国内外からの観光客が増えると期待されている。旅行に欠かせないのが思い出を収めるカメラ。静岡市には、撮影スポットになっている郵便ポストがある。ポストを目当てに訪れる観光客もいれば、思わず足を止めて撮影する外国人もいる。
静岡駅北口から徒歩5分ほどの距離にある静岡市役所。市役所の前には珍しい形をした郵便ポストがある。プラモデルをかたどったモニュメント「プラモニュメント」だ。
高さも幅も2メートルほどのステンレス製で、プラモデルのパーツが付いた枠(ランナー)に付いた状態で立っている。設置されているのは“組み立て前の状態”だが、実際に郵便物を投函すれば、通常のポストと同じように配達員によって回収される。
■出荷額は国内8割以上のシェア 最大級展示会「ホビーショー」も開催
静岡市はプラモデルの出荷額で国内シェアの8割以上を占める。タミヤやバンダイスピリッツといった大手メーカーが集積している。プラモニュメントはプラモデルのまちをPRする目的でつくられ、市は観光活性化につなげようとしている。
プラモニュメントは現在、市内4か所に計5つ設置されている。静岡市役所前のポストの他にも、静岡駅南口のロータリーとツインメッセには「模型の世界首都 静岡」の看板、静岡駅コンコース内には公衆電話をかたどったものがある。ツインメッセは国内最大級の模型展示会「静岡ホビーショー」の会場となっている場所で、ミニ四駆で知られるタミヤ本社からも近い。
静岡市によると、市のプラモデルの歴史は木製模型の時代までさかのぼる。森林資源が豊富で木工業が盛んな静岡市で生まれ育った青嶋次郎氏が1924年、青島飛行機研究所を設立。1932年から木製模型飛行機の製造と販売を始めた。これが「模型の世界首都 静岡」のスタートとなった。
1950年代後半から海外のプラモデルが輸入され、木製模型はプラスチックへと変わっていった。製造工程の変更は企業に抜本的な方針転換を迫った。費用や人材、知識や技術が新たに必要になる中、静岡市には国内有数のプラモデルメーカーが誕生した。
■「誰もが思わず笑顔に」 今年のグッドデザイン賞受賞
静岡市のプラモニュメントは今年、日本デザイン振興会のグッドデザイン賞を受賞した。審査委員は「街の中の様々なモノをプラモデルにする荒唐無稽なアイデアを実現している誰もがワクワクするようなプロジェクト。プラモデル化された公衆電話やポストを見たら、誰もが思わず笑顔になるだろう」などと評価している。
静岡市は今後も新たなプラモニュメントを設置していくという。国内外で観光の熱が高まり、「模型の世界首都 静岡」のユニークな観光スポットも目に触れる機会が増える。組み立て前のプラモデルを再現したモニュメント。写真撮影の時などは、くれぐれもパーツを枠から切り離そうとしないように。
(鈴木 梨沙/Risa Suzuki)