2022/10/25
静岡県でも年間2件の事故 電動キックボードの誤解と注意点 ヘルメット不要?免許は?
■静岡県では1年で2件 交差点で車と衝突する事故と単独事故
東京都で9月、電動キックボードを運転していた男性が死亡した。電動キックボードによる事故で死亡したのは全国で初めてだという。静岡県警によると、静岡県内では、この1年間で2件の交通事故が発生している。本来、運転免許やヘルメット、ナンバープレートの取得などが必要な乗り物だが、“例外”があるため利用者に混乱や誤解が生まれている。
9月に都内で電動キックボードに乗っていた男性が転倒し、頭を強く打って死亡したと報道各社が伝えた。男性が利用したキックボードは、国の実証実験の一環で、認可を受けた事業からレンタルしたものだった。事業者はホームページで、以下のコメントを発表している。
「今回の事故を重く受けとめ、安全性向上に向けた不断の検証を進めていくとともに、飲酒運転の防止や交通ルール遵守の取組みを一層徹底してまいります」
電動キックボードは、ボード両足を乗せ、両手でハンドルを握って運転する。助走をつけてボードに乗ってからアクセルボタンを押すと、自動で走行する。左右のハンドルにそれぞれ前輪と後輪のブレーキがついており、方向の操作は自転車や原付バイクと変わらない。
静岡県警によると、統計を取った1年間で、電動キックボードに関連した交通事故は2件起きている。1件目は昨年11月、電動キックボードに乗っていた男性が浜松市の交差点で軽乗用車と衝突した。2件目は今年6月に沼津市で単独事故が発生したという。
■電動キックボードは原付バイクまたは自動二輪車に分類
電動キックボードは、道路交通法上の「車両」に該当する。そのため、道路を走る際はナンバープレート、ミラー、ウインカーなどをつけ、ヘルメットの着用も必要となる。
運転免許も求められ、最高時速が30キロ以下のキックボードは原付バイク、30キロを超えるものは自動二輪車と同じ扱いになる。免許なしに運転すれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められている。
しかし、ヘルメット着用が任意とされる特例がある。9月に死亡した男性がレンタルしていた事業者のように、国の認可を受けている場合だ。
■国の実証実験の特例はヘルメット着用が任意 改正道交法も誤解の要因
国は実証実験として、電動キックボードの貸し出しを行っており、最高速度を15キロ以下としている。トラクターなどと同様に「小型特殊自動車」に分類されるため、ヘルメットの着用は義務ではなく任意となる。
国による実証実験の認可を受けた事業者のスピードが出ない電動キックボードであれば、ヘルメットをつけていなくても罰則はない。しかし、店やインターネットで購入するなどした電動キックボードもヘルメット着用の義務がないと誤解されている。
さらに、電動キックボードの利用者を混乱させているのが、今年4月に可決・成立した改正道路交通法だ。この中で、最高速度20キロ以下の電動キックボードは「特定小型原付自動車」に分類。16歳未満の運転は禁止し、免許不要でヘルメット着用を努力義務としている。
改正道交法では、車道だけではなく、自転車専用レーンや自転車道の走行も可能としている。2024年4月までに施行される。
(SHIZUOKA Life編集部)