2022/10/30
グッド・トイ受賞「コロンブスのつみき」 小さな穴が昔のおもちゃに新たな価値
■浜松市の「シャオール」が開発 積み木の遊び方を広げるアイデア
静岡県浜松市の知育玩具メーカー「シャオール」は今年、2つのおもちゃで「グッド・トイ」を受賞した。その1つが、「コロンブスのつみき いろ・かたちあそびセット」。見た目はシンプルだが、遊び方に広がりがあり、子どもたちの発想力を育む。積み木に開けた小さな穴が、昔からのおもちゃに新たな可能性を加えた。
日本でもヨーロッパを中心にした海外でも、積み木の歴史は長く、おもちゃの定番と言える。おもちゃを開発・販売している浜松市のシャオールは、その積み木の可能性を広げた。
「コロンブスのつみき いろ・かたちあそびセット」は今年、NPO法人「芸術と遊び創造協会」が1985年から続けている「グッド・トイ」を受賞した。受賞は世界各国から選ばれた45点。静岡県の企業としては唯一だった。
「コロンブスのつみき いろ・かたちあそびセット」の積み木は三角柱、立方体、直方体と3種類の形があり、それぞれ赤、青、黄、白の4色と、計12個。そこに、同じ4色を使った動物、果物、乗り物など16種類のパーツがセットになっている。素材は積み木がプラスチックで、パーツはフェルト。対象年齢は1歳以上としている。
他の積み木にはない最大の特徴は、小さな穴が開いていること。この穴にフェルトのパーツを差し込めるようになっている。シャオールの社長・宮地完登さんは「幼い頃に必要な指先の感覚を養う目的があります。積み木はおもちゃの王道ですが、もっと色んな風に遊べると思っていました」と説明する。
■子どもの成長で遊び方変化 色の認識や紐通し、ごっこ遊びにも発展
子どもの成長に合わせて、遊び方は変わっていく。4色の積み木と同じ色のパーツを分類するのは、色彩感覚を育てる。ブドウやウサギといったフェルトの形と名前を覚えるのは、形を認識する力を養う。
穴が開いているため、1歳半から2歳くらいになると紐を通して遊べる。この年齢は指先を動かすのが大切。その後、スプーンや箸を使ったり、ボタンをとめたりするためだ。楽しく遊びながら自然と指先の感覚が磨かれていく。
積み木の穴にフェルトを差し込めば、お店屋さんごっこを楽しめる。もちろん、一般的な積み木と同じように積んだり、つなげたりもできる。どの遊びも子どもと大人のコミュニケーションが深め、穴があるだけで遊びが発展していく。宮地さんは「昔ながらの積み木の良さを生かしながら、遊び方を付加しようと考えた時に、穴を開ける発想を思い付きました」と説明する。
「コロンブスのつみき」には、バランスセット、ハンマーセット、3Dパズルセットとシリーズがある。いずれも穴が開いていることで、積み木の可能性を広げている。
「昔からあるおもちゃに新しい価値を生み出したい、長く楽しめる積み木をつくりたいと思っていました」と宮地さん。世界各国で定番となっているおもちゃに、「コロンブスのつみき」は小さな穴を開けて新しい可能性を吹き込んだ。
(間 淳/Jun Aida)