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2022/10/30

中学1年の経験者から64歳の初心者まで 静岡市の女子軟式チームが体現する野球の魅力

静岡フューチャーズレディースでは中学1年生から60代までプレー

■静岡フューチャーズレディースのモットーは「野球を生涯楽しむ」

野球が好き。その気持ちがあれば、性別も年齢も関係ない。静岡市の女子軟式野球チーム「静岡フューチャーズレディース」は、中学生以上を対象としている。最年少は中学1年生で、最年長は64歳。50代、60代で初めて野球を経験する選手も少なくない。創設2年目。「野球を生涯楽しむ」をモットーに掲げ、選手はグラウンドを走り回っている。

 

集合時間が近づくと、グラウンドに続々と選手が集まってくる。談笑をしながら選手たちは練習の準備を始める。進化するバットの話や最近の学校の出来事、庭で収穫した柿の話題と会話の内容は幅広い。選手たちには一目で年齢に差があると分かるが、雰囲気は和気あいあい。自然で違和感がない。

 

静岡市で活動する「静岡フューチャーズレディース」は2021年に発足した。現在、メンバーは16人。加入の条件は「野球が好き」、「野球がしたい」中学生以上と門戸は広い。女子小学生が所属する「静岡フューチャーズ」の“お姉さんチーム”にあたる。

 

野球経験を問わず、年齢制限もないため、メンバーの年齢は幅広い。最年少は中学1年生で、最年長は64歳。年齢差は親子どころか、祖母と孫でもおかしくない。ただ、動きを見れば、50代や60代とは思えない。チームを率いる花村博文監督は言う。

 

「50歳を超えた未経験の女性が草野球チームに入るのは難しいと思います。でも、野球をやってみたい、野球が好きという女性はいます。野球は生涯スポーツなので、年齢に関係なく挑戦できるチームが必要だと思います」

未経験でチームに入った田﨑さんは野球の楽しさを実感

チーム最年少の竹中さんは中学1年生

■野球未経験の60歳女性 新たな挑戦、若い選手とのプレーに充実感

現在60歳の田﨑喜代子さんも、野球初心者の1人。息子と娘が野球をしていたこともあり、自分でもプレーしたいとずっと思っていた。スポーツ用品店でメンバー募集のビラを見つけ、ついに長年の夢をかなえた。

 

これまでバレーボールや柔道の経験はある。スポーツ自体は決して苦手ではないが、動いているボールを打ったり捕ったりするのは予想以上に難しかった。それでも、新しいことへの挑戦や若い選手と共有する時間は人生の楽しみになっている。

 

「子どもたちの野球を見ている時は、『何で捕れないの』と思っていましたが、いざやってみると、全然思い通りに動けません。でも、若い子たちに教えてもらって、声を掛け合うのは楽しいです。上手くキャッチできたときの喜びは格別です」

 

自身が学生の頃とは、女子野球の環境は劇的に変わった。ここ数年は特に熱が高まり、高校野球では女子選手も甲子園や東京ドームでプレーするチャンスがある。田﨑さんは「女子野球は当り前になってきたと感じます。体が動く限り楽しみたいと思いますし、50代、60代からでも始められるスポーツです」と笑顔を見せる。

年齢も経験も様々な選手が集まっているところがチームの魅力

■最年少は中学1年生 年齢が幅広いチームに「話すだけでも楽しい」

チーム最年少は中学1年生の竹中彩萌さん。小学3年生の時に、「静岡フューチャーズ」で野球を始めた。当時はボールを5メートル投げるのがやっと。バットにボールを当てるのも苦労した。

 

軟式ボールには恐怖心もあったため、最初は柔らかいゴムのボールを使って練習した。上手くいかなくても、とにかく野球が楽しかった。

 

体の成長とともに技術も向上。今ではノックのゴロは軽々とさばき、打撃練習では力強いスイングを見せる。マウンドに立つ時もあり「ストライクが入った時や、空振りを取った時は気持ち良いです」と話す。

 

一緒にプレーするのは全員が先輩。普段は接する機会が少ない社会人や、母親よりも年上の選手もいる。

 

チームメートの年齢が幅広いことも楽しさを感じる理由の1つで「色々と教えてもらえるのもうれしいですし、話をするだけでも楽しいです」と笑う。近年は静岡県の高校に女子硬式野球部が創部されており「高校でも野球を続けたいです」と力を込める。

 

技術を伸ばし、上のレベルを目指すのも1つの方法。生涯スポーツとして楽しめるのも野球の魅力だ。

 

(間 淳/Jun Aida

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