2022/12/22
静岡県の経営者は2023年の景気「後退」と予想 経済格差や倒産・失業の懸念高まる
■景気改善の見通し31% 前年の70%から大幅に後退
静岡県内の企業経営者の見通しは厳しい内容となった。静岡経済研究所は、県内の経営者に2023年の景気の見通しを調査。前年と比べて悲観的な予想をする割合が高くなり、経済格差の拡大や倒産、失業への不安が広がる結果となった。
静岡経済研究所は11月中旬、県内の企業経営者757人に「2023年がどのような1年になるか」を郵送による送付・回収で調査した。全体の35%にあたる265人から回答があった。
調査では2023年の景気が「良くなる」と回答したのは、4.3%にとどまった。「やや良くなる」は26.7%。2つを合わせた「景気が改善する」としたのは31%だった。
前年の調査ではロシアによるウクライナ侵攻や記録的な円安など、企業にとっての悪材料があったにもかかわらず、「良くなる」と「やや良くなる」の合計は70%。2023年の改善見通しは大きく後退している。
国内経済に起こる経済事象に関する質問では、91.1%が「経済格差が拡大する」と回答。84.3%は「企業の倒産・廃業が増加、失業率が高まる」、82.9%は「消費者物価が上昇するも所得は増えず、スタグフレーション(景気後退とインフレが同時進行)に陥る」と答えている。
■新型コロナからの回復は二極化 半数以上がコロナ前の水準以上
多くの企業の不安材料になっているエネルギー価格の高騰は、47.2%の経営者が肯定的な見方を示したが、半数には届かなかった。訪日外国人客の急増や観光レジャー産業は、80.5%が復調すると予想している。
新型コロナウイルス感染からの回復は、県内企業で二極化が進むと分析されている。感染拡大前の2019年と比べた2022年の売上高が「上回っている」企業は35%。2019年と同水準は19.3%で、半数以上が新型コロナ前の水準以上に売上が戻っている。
新型コロナによる社会活動の規制がなくなってきた現状を考えると、2023年は6割の企業でコロナ前と同様か、それ以上の売上になるとみられている。一方、2022年は45.7%、2023年は40.2%が、売上はコロナ前の水準を下回った(下回りそう)と回答している。
調査の対象となった業種は製造業50.2%、非製造業が49.8%。従業員数は30人以下が18.9%、31~50人は13.2%、51~300人が24.9%、301人以上は21.9となっている。
(SHIZUOKA Life編集部)