2022/12/24
ハンバーグ王国・静岡のご当地メニュー企画に32店舗 マグロ&お茶アレンジ
■新企画「するがバーグヌーヴォー」 静岡県中部の32店舗が参加
静岡県に、ご当地ハンバーグをつくる――。ハンバーグ王国の命運を握るプロジェクト「するがバーグヌーヴォー」がスタート。静岡市、藤枝市、焼津市の飲食店32店舗が参加し、静岡の名産・お茶やマグロを使ったハンバーグを開発・提供する任務を遂行している。
静岡県はサッカー王国で知られているが、実はハンバーグ王国でもある。県内でのみ30店舗以上を展開する「げんこつハンバーグの炭焼きレストラン さわやか」は週末になると行列ができ、「さわやか」のハンバーグを目当てに県外から訪れるファンも多い。
総務省によるハンバーグの年間支出金額で、静岡県は例年1ケタ順位となっている。さらに、この調査には、静岡県で人気の高い冷凍ハンバーグの購入が含まれていないため、実質的にはトップ3に入る実力があるという見方もある。
そのハンバーグ王国で今月、チャレンジが始まった。「するがバーグヌーヴォー」。ヌーヴォーは、「新しい」を意味するフランス語。ハンバーグの新たな可能性を広げるプロジェクトだ。
静岡市の「するが企画観光局」と、一般社団法人「日本ハンバーグ協会」の理事長・バーグマン田形さんが進める「静岡ハンバーグ王国プロジェクト」の共同企画で、静岡市、藤枝市、焼津市の飲食店32店舗が参加している。
■マグロ×ハンバーグ 魚が苦手な子ども、お年寄りにもオススメ
プロジェクトのテーマは、お茶かマグロを使った新作ハンバーグの開発と提供。バーグマン田形さんは「静岡の伝統食材であるお茶とマグロを、年齢を問わず人気のハンバーグと組み合わせてみようというところからスタートしました。お茶、マグロ、ハンバーグ、全ての可能性が広がるものになっています」と自信を見せる。
参加する店舗の中には、韓国料理店や餃子専門店など、普段はハンバーグを提供していない店もある。プロジェクトの趣旨に賛同し、地元を盛り上げようと新メニューに挑戦した。
マグロを使った店の多くは、挽肉の代わりにアレンジしている。実際に口にしたバーグマン田形さんは、こう評した。
「口当たりが軽く、外側のカリっと香ばしい部分と中の柔らかい部分の味が違うのがおもしろいです。お年寄りも、刺身が苦手なお子さんも楽しめると思います」
お茶をハンバーグに使った店は、主にソースとして風味や清涼感を出している。お茶のアレンジでは、ソフトクリームやチョコレートといったスイーツのイメージが強い。しかし、バーグマン田形さんは「料理とも相性が良いと知ってもらいたいです」と力を込める。
■お茶×ハンバーグ 新たな可能性で産出額減少に歯止め
新メニュー開発では抹茶、ほうじ茶、てん茶など様々な種類を試したり、試作に数か月かけたりした店もある。約50もの新メニューが誕生し、お茶とマグロの両方をハンバーグと組み合わせたものも多い。
今回のプロジェクトで、お茶が選ばれた理由には静岡県が直面する課題解決のきっかけにしたい思いもある。静岡県のお茶の産出額は2019年、鹿児島県に首位を奪われた。統計が残る1970年以降、日本一から陥落するのは初めてだという。
お茶離れに歯止めをかけるためには、新たな魅力を発信する必要がある。バーグマン田形さんは「するがバーグヌーヴォー」を契機に、ハンバーグの未来を描いている。
「今のところ、ご当地ハンバーグの特徴はブランド牛のハンバーグになっています。お茶とマグロを使ったメニューを、静岡のご当地ハンバーグとして確立したいと考えています。観光で静岡に来たら『これ』というものにしたいです」
全国的にも珍しい、食材を指定したハンバーグの企画。ハンバーグ王国・静岡を強火で盛り上げている。
(間 淳/Jun Aida)