2023/01/04
「新型コロナは風邪と近い」 今年1年かけて県民の認識変える 静岡県が新年の抱負
■県内のコロナ専用病床使用率76% 医療への影響懸念
新型コロナウイルスの感染者が日本で初めて確認されてから、間もなく3年になる。新規感染者数は増加傾向にあるが、この年末年始は行動制限がなかった。生活は新型コロナ感染拡大前に戻る中、静岡県は「今年1年かけて、コロナは風邪と似たような症状で心配はいらないと県民に認識してもらう」と新年のメッセージを送った。
官公庁の仕事始めとなった4日、静岡県の川勝平太知事による新春会見が開かれた。川勝知事は年末年始を軽井沢の別邸で過ごしたが、新型コロナの感染状況は電話やファックスで毎日報告を受けていたという。
「病床ひっ迫率が極めて高く危機的状況。なかなか感染が止まらない中で、医師が困っています」
県によると、新型コロナ専用病床使用率は県全体で76.5%に上っている。4日の新規感染者数は4311人と1週間前より3000人以上減っているが、年末年始で大半の医療機関が診療していなかったためで、ピークアウトはしていないとみられている。
年末年始に発熱外来をしていた病院は、午後5時の診療時間を10時、11時まで延ばすほど患者数が多かったという。院内クラスターも増えており、医療機関への負担は増している。
■「風邪と近い症状」 県民がコロナへの意識変える必要性
さらに、新型コロナの患者以外で、心臓や脳の出血など緊急性の高い患者を搬送する件数は1週間で100件を超えている。このままでは、新型コロナ患者の対応で病院が機能しなくなる可能性があるため、県健康福祉部の後藤幹生参事は新型コロナに対する県民の意識を変える必要があると訴える。
「若い人、基礎疾患の軽い人、オミクロン対応ワクチンを済ませている人は風邪と近い症状であることが確実に分かっています。今年1年でコロナが普通の風邪と似たような症状、心配する感染症ではないと認識してもらい、2019年以前の日常生活に戻るようにお願いしたいと思っています」
後藤参事は自己検査で陽性が判明した場合、県や政令市に届出をして、市販の解熱剤を飲むなどして様子を見てほしいと呼び掛けている。病院で診療を受けるのは、症状が悪化してからで問題ないという。
県内の累計感染者数は70万人を超え、県民の2割が抗体を持ったことになる。川勝知事も「いきなりは難しいですが、これまでの考え方を徐々に変えて、怖がらずにウィズコロナの時代を生きる。インフルエンザや風邪のように、普通の生活ができつつあります。負担がかかっている医療従事者にご配慮いただきたい」と話した。
年末年始の帰省や旅行で人の動きが活発になり、新型コロナの感染は広がったと予想される。感染者の増加に不安を感じる人は少なくないが、静岡県は「新型コロナは風邪と変わらない」というメッセージを県民に浸透させ、感染拡大前の日常を取り戻そうとしている。
(SHIZUOKA Life編集部)