2023/01/06
静岡空港で韓国便の運航再開へ 国際線は約3年ぶり 観光地は歓迎と不安交錯
■2月下旬に静岡-ソウルのチャーター便 3泊4日のツアー
静岡県の富士山静岡空港で、2年11か月ぶりに国際線の運航が再開する。再開するのは韓国のチェジュ航空によるソウル-静岡のチャーター便で、2月25日から3泊4日で予定されているツアーに合わせた。新型コロナウイルス感染拡大による水際対策で欠航が続いていた国際線の再開。観光地では歓迎と不安の声が交錯している。
運行が決まったチャーター便は、韓国の大手旅行会社「ハナツアー」による3泊4日の団体ツアー。韓国のチェジュ航空が、2月25日と28日に韓国・仁川空港と静岡空港を計4便往復する。
各便の席数は189席となっている。ツアーは富士山の眺望を楽しむ観光地や、静岡県特産のお茶を学ぶ施設を巡る内容が販売されている。
静岡県では昨年8月に出野勉副知事が韓国を訪問し、県空港振興局や県ソウル事務所や富士山静岡空港が航空会社や旅行会社に韓国路線の運航再開を働きかけてきた。今後は、欠航中の定期便再開に向けて関係先と交渉を続けていくという。
韓国のほかに中国との路線も静岡空港では、2018年度の国際線搭乗者数は約29万人に上っていた。しかし、新型コロナの世界的な感染拡大により、2020年3月に国際線を全便欠航。今回の韓国チャーター便は、2年11か月ぶりの国際線運行となる。
静岡空港近くには、お茶に関連した観光施設が多い。また、外国人観光客には富士山の人気も高い。新型コロナで打撃を受けた観光地からは国際線再開を喜び、早期の定期便再開を期待する声が上がっている。
■にぎわい回復への期待と新型コロナ拡大への心配交錯
県特産のお茶を学べる観光地の担当者は「アジアの人はお茶に対する関心が高い。国際線の運航がコロナ前の状況に戻り、韓国や中国からの観光客でにぎわってほしいです」と話す。海外からの観光客が激減し、まち全体の活気が失われているという。一方、外国人観光客が増えることへの懸念も口にする。
「世界的に見ても、マスクを徹底しているのは日本くらいです。海外の観光客は日本でもマスクをしない人が多いので、スタッフへの感染が不安。スタッフ間で感染が広がると、営業できなくなる可能性があります」
重症化のリスクは低下していると言われているが、新型コロナに感染すれば、症状が軽くても出勤はできない。また、濃厚接触による自宅待機などの対応も必要となる。そして、もう1つ別の心配もあるという。
「外国人の観光客がマスクをしないことで、日本人の観光客が外国人の多い観光地を避けるのではないかと懸念しています。特に、屋内施設は感染リスクが高いという意識を持つ日本人は少なくないと思います」
新型コロナの新規感染者数は増加傾向にあり、病床使用率も高くなっている。政府は「過度に恐れる必要はない」と繰り返しているが、感染への恐れは消えていない。今後、静岡県で国際線の定期便が再開され海外からの観光客が増えても、観光地がコロナ前の状況に戻るかは不透明だ。
(SHIZUOKA Life編集部)