2023/01/20
スマホトラブルきっかけか 牧之原市で中1女子が母親殺害した疑い 中学生の携帯電話事情
■中学生の79%がスマホ所有 3年前の59%から急増
静岡県牧之原市で16日、40代の女性が刃物で刺されて死亡する事件が起きた。警察は中学1年生の長女が関与したとして保護。スマートフォンの使用をめぐるトラブルがあった可能性を複数のメディアが報じている。中学生のスマホ所有率は、この数年で急増。その背景とは。
複数の報道機関によると、牧之原市で16日、40代の女性が自宅で首などを複数カ所刺されて死亡した。現場の状況などから、警察は中学1年生の長女(13歳)を保護した。14歳未満は「触法少年」として扱われ、刑事責任は問われない。
事件発生から3日が経過し、事件の原因にスマートフォンをめぐるトラブルの可能性が指摘されている。長女のスマホの使い方で親子が口論になったという。
中学生のスマホ所有率は急激に伸びている。2021年に実施したモバイル社会研究所の調査によると、中学生の79%がスマホを所有している。59%だった2018年から、わずか3年で約8割が持つまでに増えた。
■1日の使用時間 中学生は「5時間以上」が最多の21%
昨夏にニフティが行ったアンケートでは、中学生の76%がスマホを含めた携帯電話を所有している結果が出た。1日の使用時間は「5時間以上」が最も多く、全体の21%を占めている。その他にも「2~3時間未満」は16%、「3~4時間未満」は14%と、自宅で過ごす時間にスマホが不可欠な現状が明らかになった。
中学生がスマホを持つメリットはある。保護者にとっては、緊急時の連絡手段になる。また、万が一の時にGPS機能で居場所が分かることも安心材料になる。約8割の中学生が所有している状況を考えると、スマホを持っていないと疎外されたり、友達とのコミュニケーションに不都合が生じたりする可能性を心配する保護者もいる。
一方、スマホがトラブルの原因になるケースも少なくない。SNSを発端にした事件や個人情報の流出に加えて、家族内の問題もある。東京都の調査では、「注意しても長時間使用するようになった」が最も多い16.7%となっている。
中学生にスマホを持たせる場合、ルールを決めている家庭は多い。使用時間のルールは一般的だが、スマホ依存症の低年齢化が問題視されているように、長時間の使用が親子間のトラブルに発展することもある。他にも、見知らぬ人とやり取りしない、アプリを勝手にダウンロードしないなどのルールを子どもが破って親子げんかになるケースも多い。
今回の殺人事件では、女性が刺された理由は明確になっていない。ただ、スマホは多くの中学生が手放せない必需品になっているのは間違いない。スマホに限らず、どんなに便利でも使い方を誤れば問題が発生する。
(SHIZUOKA Life編集部)