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2023/02/17

最も人が増えたのは焼津市 人口流出全国8位の静岡県で「流入」しているワケ

マグロやカツオが有名な港町・焼津市

■静岡県の転出超過は680人増 全国で8番目に多い4658人

静岡県からの人口流出が止まらない。昨年、静岡県から他の地域に転出した人数は転入した人数を4658人上回った。全国で8番目に多い転出超過人数となっている。そんな中、県内で最も流入が多かったのは焼津市。その理由とは。

 

総務省の人口移動報告によると、他の地域から静岡県に移住してきた転入者は昨年、5万9075人だった。一方、静岡県を離れた転出者は6万3733人。人口流出を意味する転出超過となり、その数は前年より680人増えて4658人だった。都道府県別に見ると、8番目に多い数となった。

 

静岡県全体で人口流出が加速する中、県内35市町のうち12市町で転入が転出を上回った。1位は焼津市で326人増加、袋井市の299人、島田市の217人と続いた。

 

焼津市への転入者が増えた理由としては、災害対策や子育て支援が挙げられている。沿岸部に位置する焼津市は2011年の東日本大震災以降、津波避難タワーなどの防災を積極的に進めてきた。また、18歳まで医療費無料といった子育ての環境を他の自治体に先駆けて実施。保育料も第2子は半額、第3子は無料としている。

 

こうした事業には当然、財源が必要となる。焼津市といえばマグロやカツオを中心とした漁業が盛んだが、近年は「ふるさと納税」を強みにしている。

 

■東日本大震災で人口流出、土地下落 津波対策強化で再評価

海産物の返礼品が人気で、2021年度の寄付額は64億8500万円。2位の富士宮市に2倍以上の差をつけ、3年連続で県内トップとなった。全国の市区町村ランキングでも11位に入るほどだ。税収がなければ、防災も子育ても対策を講じられない。

 

焼津市の流入が増えた理由には、「今までに人が流出し過ぎた反動」との指摘もある。焼津市は静岡市と隣接しており、焼津市の中心部から静岡市街地までは車で30分。焼津駅と静岡駅は3駅の距離で、15分かからない。東名高速の焼津ICもあり、立地は申し分ない。

 

しかし、東日本大震災で津波への不安が高まり、港町の焼津市は人口が急激に減った。土地の価格も大幅に下がった。特に、海と面していない隣の藤枝市に移住する焼津市民は多かった。藤枝市は子育て支援を充実させ、若い世代を中心に定住者や移住者を増やしていった。

 

2022年の土地価格は藤枝市が坪単価22万8000円に対し、焼津市は16万5000円と3割近く安い。先に述べたように、焼津市は津波対策を強化している。津波のリスクが軽減すれば、住む場所としてはコストパフォーマンスが高い。

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京一極集中を見直して地方移住への関心は高まった。ただ、策を講じなければ転入者は増やせない。1年間で4658人の転出超過は軽視できる数字ではない。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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