2023/03/25
注目高まる犬のマッサージ 癒し効果で幸せホルモン分泌 病気や怪我の予防にも
■スウェーデン式ドッグマッサージ 熱海市の「LIKE家」
マッサージで癒されるのは人間だけではない。犬向けマッサージへの関心が高まっている。静岡県熱海市でスウェーデン式ドッグマッサージ「LIKE家」を運営する山田加織さんは、病気や怪我の予防、さらに幸せホルモン増加の効果があると話す。
整体、タイ古式、アロマなど人間のマッサージに様々な種類があるように、犬のマッサージも東洋と西洋でルーツや手法が異なる。山田さんが運営する「LIKE家」のスウェーデン式は、馬のリハビリや健康維持を目的としたマッサージを犬に応用している。骨格や筋肉に合わせた優しいアプローチが特徴で、犬への負担が少ないと言われている。
山田さんは「人間と同じように継続が前提」とした上で、ドッグマッサージは血流を上げてリンパの循環を良くする効果があると話す。免疫力が上がり、筋肉も柔らかくなるため、病気や怪我の予防になるという。お腹を優しくほぐすと便秘改善にもつながる。マッサージは月に1回くらいが目安となる。
犬は痛みのある箇所をかばって生活する。右の後ろ足に痛みや違和感があると、他の3本の足で歩いたり走ったりする。痛みに強いため、例えば膝の皿の骨がずれる膝蓋骨脱臼(通称パテラ)になっても、他の足を使って生活する。結果的に他の足や腰などに負担がかかって怪我をしやすくなり、悪化すると歩けなくなってしまう。
そこで、効果が期待されるのがマッサージ。山田さんは「人間と一緒で、犬も傷みや張りがある箇所を触るとジョリジョリした感じがあります」と説明する。
■「触られたくない犬ほどマッサージ必要」
ただ、自分で予約を取ってマッサージを受ける人間と違って、犬には警戒心がある。初めて会った相手、しかも痛みや張りがあるところを触られるとなれば、すぐに受け入れられないのは当然だろう。山田さんは犬が気持ち良いところからマッサージして警戒心を解いていく。
「まずは、触らせてもらえないと始まりません。触られたくない犬ほど、マッサージを必要としているケースもあります。『マッサージは悪くないな』と感じてもらえると、痛みや張りのあるところをほぐしても嫌がらなくなります」
人間がマッサージで心身とも癒されるように、犬も幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」や「セロトニン」の分泌が増えるという。また、保護犬のように家族以外に慣れていない犬はマッサージの心地良さを知り、人に触られることへの抵抗がなくなることもある。
疲れが溜まったり、体に張りを感じたりした時、人間はマッサージで調子を整える。犬も同じように癒しを求めている。
(間 淳/Jun Aida)