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2023/04/01

「検証不要」から一転「問題あった」 静岡市長の台風15号対応で最終報告

大規模な断水が発生した静岡市清水区では信号も停止

■台風翌日の現場視察前に敬老会などの「公務」

静岡市は、清水区で大規模な断水が起きるなど被害が出た昨年の台風15号を検証する最終報告を公表した。「検証不要」としていた田辺信宏市長の発災時の行動について「問題があった」と指摘した。

 

昨年発生した台風15号は、9月23日の夜から24日の明け方にかけ、静岡県に最も近づいた。興津川の取水口が土砂や流木などでふさがったことから、静岡市清水区では最大6万3000世帯で断水が発生した。

 

市は3月27日、本部長の田辺市長をはじめ各部局の幹部が出席した2回目の災害復興本部会を開いた。台風15号の対応に問題がなかったかを検証し、最終報告を公表している。

 

最終報告書では、田辺市長の行動についてもまとめられた。台風の被害が分かり始めた9月25日に災害現場視察前に予定していた敬老会や打ち上げ花火大会に出席し、「公務」と説明したことに疑問や批判の声が上がっていた。

 

1月に公表した中間報告では、市は「目的は行政組織の機能が適切に機能したかの検証」と田辺市長の行動は検証の対象外としていた。しかし、最終報告書では一転して次のように結論付けた。

大規模な断水が発生した清水区では給水車に行列

■「災害対応と通常公務のバランスの適切性に問題」

「本部長は9月25日の現地視察の際、限られた時間ではあったが災害対応以外の公務について、本部長自らの行動の適切性を判断する必要があった。これらを踏まえ、本部長が25日午前中に災害対応以外の通常公務に従事したことについて、災害対応と通常公務のバランスの適切性に問題があった」

 

最終報告書は田辺市長の敬老会や花火大会参加は「公務」と強調した上で、バランスを欠いた判断だったと指摘した。そして、「本部長は情報が少なく被害状況が正確に把握できない状況であっても、最悪の事態を想定した災害マネージメントを行う必要があるため、状況が刻々と変化する初動期においては、現地視察の実施について慎重に判断する必要があった」としている。

 

中間報告から方針転換して田辺市長の行動を検証対象にした背景には、一部の市議が強く反発し、市民からも疑問視する声が届いたからだという。市の幹部の1人は「災害対応の本部長である田辺市長を対象から外したら、検証とは言えない。断水が長期化した原因にもなっている田辺市長の行動は検証すべきといった声がありました」と説明した。

 

4月9日が投票日の静岡市長選に、田辺市長は出馬していない。4月12日に任期満了を迎えて退任するが、災害対応は新しい市長にとっても重要課題。災害対策本部トップの行動は適切だったのか、検証は不可欠といえる。

 

SHIZUOKA Life編集部)

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