2023/04/12
静岡市が待機児童6年連続ゼロ 課題は隠れ待機児童 前年から1.5倍に増加
■静岡市の隠れ待機児童188人 前年から62人増加
新年度が始まった。新たに子どもを保育園に入れる人もいる中、静岡市は6年連続で待機児童ゼロを達成したと発表した。ただ、希望する保育園に入れていない“隠れ待機児童”は188人で、前年より62人増えている。
きょう4月12日に任期満了を迎える田辺信宏市長が7日に行われた最後の定例会見で、3期12年の市政運営で最も手応えを感じた政策に挙げたのが子育て支援だった。待機児童ゼロは第3次総合計画の成果と強調し「他の自治体にはなかなかない、特に政令指定都市として高水準の子育て政策ができたと思っています」と力を込めた。
静岡市によると、昨年度は既存の保育施設の定員を増やしたり、私立幼稚園を認定こども園に移行したりするなどの対策を講じ、保育定員を107人拡大した。その結果、待機児童の数は6年連続でゼロとなった。
ただ、保育施設の利用申し込み児童数1万3669人に対し、実際に利用している児童は1万3481人となっている。保育施設を利用できなかた児童が188人いることになる。
この188人は主に特定の保育施設を希望し、空きのある園への入所を保留している。いわゆる、隠れ待機児童だ。静岡市では、前年よりも62人増えている。区別では清水区が29人と比較的少ないが、駿河区は17人増えて80人、葵区は43人増の79人となっている。
■全国85%の自治体で待機児童ゼロ達成 隠れ待機児童は増加
隠れ待機児童は全国的にも課題となっている。厚生労働省によると、2022年4月時点で全国の待機児童数は2944人と、5年前の2万6081人から大幅に減っている。待機児童ゼロを達成した自治体は85%に上る。
一方、隠れ待機児童の数は7万2547人で、5年前から3323人増えている。認可保育園を希望する人や、勤務先や自宅から遠い保育園に子どもを預けるのが難しい人など、空きのある保育園には入らない事情がある。
静岡市は隠れ待機児童を減らすため、市内各地域の利用状況をもとに既存の保育施設の定員拡大を図るなどとしている。ただ、施設の定員を増やすには、保育士の確保が不可欠となり、ハードルは低くない。
6年連続で待機児童ゼロを達成した静岡市。難波喬司新市長のもと、隠れ待機児童の問題を解決し、文字通り保育施設の空きを待つ児童ゼロを目指す。
(SHIZUOKA Life編集部)